すれ違い ページ4
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「…わたし、玲於くんと付き合い始めて、ずっと ほんとに幸せだったよ。大好きだった。」
「…うん。」
「でも付き合っていくうちに、いつの間にか玲於くんは大きくなってて、わたしだけ子どもみたいで。…玲於くんはテレビ出てるし、ファンの子も沢山いるし、わたしとは全然違くて。」
拙い喋り方。
ひとつひとつ話してくれるAに、俺も目を合わせて、しっかり相槌を打った。
「…わたしなんかよりもっと良いひとがいるって、ずっと思ってた。わたし、玲於くんのお仕事が本当に嫌だったの。それは、芸能人だからデートできないとか窮屈とか、そんなんじゃないよ。」
「……。」
「…そんなんじゃなくて、…キラキラしてる玲於くんが、苦手だった。どんどん遠くに行っちゃうみたいで、悲しかった。」
「……そっか。」
「……別れた方がいいなあって、玲於くんのためだよ。だいすきなのに、一緒にいたらダメになってく気がしてた。」
…ああ、俺とおんなじだ。
俺もそう思うよ
俺たちはお互いにとってマイナスの要素しか持ってない。
ただ一緒にいたいって気持ちしか、一緒にいる理由が無いみたいな
難しいけど、多分そういうのを依存っていうんだと思う。
思わず、繋いでいる手の力を強めた。
Aは一瞬その手を見て、ごめんね、と呟く。
「…そんなふうに悩んでる時に会ったのが吉川くんで、吉川くんは優しかったし、何より芸能人じゃなかったし、…わたしにとって、プラスの要素しかなかったはずなのに、」
「……。」
「…なのに、やっぱ、玲於くんが良かったよ。手、繋がれちゃったけど、違和感ばっかりで、全然嬉しくなかったよ。」
「…ほんと？…それだけ？」
「それだけだよ、当たり前だよ。…わたしがあの時別れたいって言ったのは、吉川くんのこと好きだったからじゃない。玲於くんが好きだったから、…嘘じゃないよ。」
…そっか
俺たちのすれ違いって、そこから始まってたんだ。
言ってくれたら、って思ったけど
当時のAは随分ボロボロだったし
むしろ悪いのは、気付いてやれなかった俺の方だ。
Aのこと、全然見てなかったんだ
上辺だけで満足してたのかも
真ん中を見ようともしないで、俺は
「…気付いてやれなくてごめん。」
「……。」
「…俺、嫌われてんだとばかり思ってたから。話ちゃんと聞こうって考えにならなかった。」
「…わたしも話さなくてごめんね。」
ひとつひとつ繋がってく、俺たちのすれ違い。
募るのは後悔だけだった。
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a - もう何回読んだか分かりません。当時GENEが大好きだった私も今では予定があえばライブに行く程度ですが、未だに何回もきなこさんの作品を読んでしまいます。こんなに大好きだと思える作品は他にありません。当時も今も変わらずいちばん大切な作品です。 (11月26日 9時) (
レス) @page50 id: fb27f2c91a (このIDを非表示/違反報告)
また会いたいです - きなこさんは今は何をされていますか？ (9月26日 19時) (レス) id: e10e58a731 (このIDを非表示/違反報告)
mchar(プロフ) - もう3回くらい読んでます。毎回泣いてしまうし、寝る間も惜しんで読んでしまいます。もう玲於のファンは卒業していますが、きなこさんが書く玲於が好きです。 (7月3日 8時) (レス) @page50 id: 895ee9ba7d (このIDを非表示/違反報告)
ナカム(プロフ) - 後半は特に心がギュッと掴まれて苦しくなっちゃうくらい感情移入してしまいました、、素敵な作品をありがとうございます！！2人の会話のテンポ感と雰囲気がすごく好きでした！！！ (7月3日 2時) (レス) id: a627fc4932 (このIDを非表示/違反報告)
まるこめちーは(プロフ) - やっぱ玲於……カッコイイーーー！！！！！と思いました！笑 長々と失礼いたしました。 (2023年1月27日 19時) (レス) id: 58d12bf03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年12月1日 22時
