240メートルの誤算3【佐野玲於】

3ヶ月 ページ8

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それから3ヶ月が経った。
悠太からは、なんで店来てくれないの？って連絡来るけど
あの女のコ、Aちゃんがあのパーティーにいたってことは、たぶん悠太の友達だし
なんかそういうこと考えたら、ちょっと顔合わせづらくて。

でも、メンさんにも不審がられる。
パーティーまで行ったのに突然冷たくない？とか
そもそもあの日いつ帰ったの？とか。
全部言ってしまおうかと思ったけど
もう3ヶ月も経ってるし、そのうち忘れるだろって思って、内緒にしといた。


だいたい、まだ不安も拭えない。
Aちゃんがいいコだなんて証拠、どこにもないんだ。
だから迂闊にあの店には行けない
って、そう思っていたのに


「…え、は？俺も？」
「当たり前じゃん！玲於の友達じゃん！」
「いやいやひとりで行ってくださいよ、俺今日は忙しくて、」
「さっきこのあと暇って言ってたでしょ！」

メンさんのギルティー行為
知らない間に悠太と連絡とってて、今日今から行く約束をしてたらしい。
悠太も張り切って、来るまで店開けとくから！って。

おいおい嘘だろ
…って、思ったけど、でもまあ 悠太の顔見たらすぐ帰るし
3ヶ月経っても悠太からなにも言われないってことは
Aちゃん、悠太にチクってないんだなって分かるし
うん、とりあえず今日のところはすぐ帰ろう。
これでいい。

後ろめたい気持ちを持ちながら、メンさんと二人タクシーで向かった。
店が見えて、ざわついた気持ちを諦めさせ、タクシーを降り表の透明なドアを開ける。


「え！玲於もいんじゃん！」
「無理やり連れてきた。笑」
「ナイスメンさん！もーほんと待ってたよー。」

キラキラした目の悠太
ごめんって、俺も笑った。

「最近忙しくてさ。」
「いやそれにしても、」

悠太が話してる、まさにその最中
バックヤードのドアが 勢いよく開いて。
そこに、いたのは


「え？ちょ、玲於！」

店から飛び出す。
頭、おかしくなりそうだ。うそだろ、おい。

あのコだよ
あれ、Aちゃん。絶対そうだ。
ありえない。ああもう最悪だ、終わった。

ここに来た時に乗ってたタクシー
待たせておいたから、ハザード焚いたまま停まってて。
慌てて乗り込もうと、近寄る。でも

「まって！」

後ろから俺を呼び止めた、Aちゃんの声。
もうなんで？
どうしたらいいんだよ。

被ってたキャップ、深く下げて
目を合わせないように、必死に抵抗してた。


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