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夏の夜 ページ1

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「…あー、あっちい…」
「あちいね、扇風機じゃたりないね。」


2日前、Aんちのエアコンが壊れた。
8月もまだ半ばだってのに、この部屋には小ぶりな扇風機がひとつあるだけで
ほとんど外と変わらない気温。

ふたりで汗かきながら、ラグに横になって、暑いのに、ひっついてた。


「…修理業者いつ来んだっけ。」
「えっと、明日。」
「明日か…」
「エアコン、割と新しいのにな。ついてないね。」
「うん。ついてない。」

俺にぴたってくっついた、Aの身体。
暑いから離れろってさっき怒ったけど、何度言ってもすぐひっついてくるから、もう諦めた。
扇風機の風で揺れるAの前髪は、綺麗なミルクティー色してる。

もう1時か。寝なきゃな、明日も仕事だし。

「……明日大学?」
「うん、3限からかな。」
「何時に起きる?」
「…10時。」
「おっそ。」
「玲於くんは?」
「俺は8時にここ出る。」
「…早い…」
「んー…」
「……さみしい…」

そう呟きながら、俺のこと ぎゅうって抱きしめた。
汗ばんだAの身体
白のキャミソールから伸びる腕と、サテン生地のショートパンツから見える脚

ちょっとむちむちしてて、それが可愛くて、ずっと触ってたくて
たまらなく愛おしく感じて、すぐそばにあるAの顔に、何度もキスした。
顔じゅう、どこもかしこも、全部。


「…くすぐったいよ。」
「…そういや、ニキビ治ってる。ここにあったやつ。」

言いながらおでこ触ったら
そうなの!って すげー笑顔

「ちゃんとお薬塗ってたもん。」
「へぇ…」
「あとは、昨日23時くらいに寝たしー…」
「……。」
「野菜もいっぱい食べた。」

言いながら身体を起こしたA
そばにある扇風機に向かって、喋ってる。宇宙人の声になるって、ガキの頃俺も遊んだ気するけど

「やーさーいーたーべーたーよー」
「…子どもか。」
「ちーがーうー」
「…うるせえ。」
「うーるーせーえー」

そう言って、けらけら笑うAが可愛かった。
華奢なその背中
後ろから見てるだけじゃ、満足できなくなって。

「…あークソ。寝る気なくなった。」
「え?」
「一回だけ、しよ。」
「……暑いからやだ…」
「…我慢してよ。」


夏の夜
付き合い始めて、もうすぐ3年になる 俺たち。


.

能天気な彼女→



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mugi(プロフ) - 自分に重なることが多すぎて、感情移入どころではなかったです。素敵な作品いつも有難うございます。 (2019年11月18日 10時) (レス) id: 4db51b5e5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆいあ - きなこさんの作品大好きです! (2019年11月3日 18時) (レス) id: a624d1b453 (このIDを非表示/違反報告)
_myprince8(プロフ) - きなこさんの作品全て好きです。完結まで結びますように!っ (2019年11月3日 10時) (レス) id: bca9b2866b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 私最近の玲於くんの大人っぷりに寂しいって感じてしまい玲於くん見るの少し離れてたんです。だからきなこさんの思ってること同じで嬉しくなりました。今はちょこちょこ玲於くんを応援してるつもりです。笑1日の終わりに読むきなこさんの作品いつも楽しみです! (2019年11月3日 1時) (レス) id: f500b029ae (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - きなこさんの作品の中で一番好きです。人間味があって執着する玲於ちゃんや空回りながらも同じ思いの主人公ちゃん、すれ違いがもどかしいけど読み応えがあって本当に好きです。完結まで頑張ってください! (2019年11月2日 9時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作成日時:2019年10月10日 22時

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