240メートルの誤算【佐野玲於】

ストーカー ページ6

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それからの毎日は、自分でも引いちゃうくらい必死だった。
元彼から聞き出した電話番号
佐野玲於さん、ていうらしい。
調べたら、EXILE系のひとでびっくり
そんなふうに見えなかった。でも確かに、身体はすごく綺麗だったな、なんて。

それに、元彼と玲於さんは 友だちの紹介で知り合って 数年前から友だちだったって。
このお店に玲於さんも投資してくれてたらしく、だからオープン記念にも来てたんだって。

元彼に冷やかされながら、夜、電話をかけてみた。
4回目のコール音のあと、はいって聞こえて
名前を言ったら、すぐ切られた。
めげずに掛け直したら、着拒されてた。
元彼はけらけら笑ってたけど、全然おかしくないよ。

暫く連絡取れなくて落ち込んでたら
1週間後の夜中、3時頃
突然メッセージがきたの
[ ストーカー ]
って。

それすら嬉しくて、思わず叫びそうになった。
緩む口元を手で抑えながら、すぐ返事する。

[ 着拒はひどいです ]
[ 警戒心が強いもんで ]
[ わたし安全なのに ]
[ 嘘じゃん、ストーカーのくせに ]
[ ストーカーかもしれないけど、週刊誌とは関係ないから ]
[ いやストーカー認めちゃダメでしょw ]

そうやってやりとりするのが楽しかった。
芸能人だなんてこと忘れてて
ただ 片思いしてる感覚。
全然振り向いてくれない好きな人と、こうやって夜に連絡取り合って
切れないように必死、眠くても我慢。

そんなわたしに、玲於さんもだんだん気付いてくれた。
2週間後、ようやくラインを教えてくれて舞い上がって
勇気出してご飯に誘ってみたら
絶対イヤって断られた。


一目惚れしたの、初めてだったけど
最初は顔や声が好きなだけだったのに、気付いたら、こういうちょっと尖ったとこも好きになってる。
好きなところが増えていくのが嬉しい。
たぶん明日には、また増えてる。


ふわふわした気持ちで毎日を過ごしてたら
ある夜突然、お店に玲於さんが来た。
嬉しいけど 突然だったから恥ずかしくて、あんまり目を合わせられなかった。
お話も全然できなかった。

やばい、どうしよう
つまんないコって思われた？
ラインでしか喋れないタイプかって思われた？
嫌われたくないのに、嫌われるようなことばかりしちゃう。
どうしてなの

後悔してつらくて、家に帰ってひとりで泣いてしまった。
でも、そのとき鳴った携帯
見たら 玲於さんからだった。
泣くのを我慢しながら出た電話で、玲於さんは言ったの

きみ、ほんとに俺のこと好きなんだね
って。


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