240メートルの誤算【佐野玲於】

嘘でしょ ページ40

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それから2日後
明日から玲於くんは、宣言通りLAに行くことになってた。
暫く会えなくなるから、今日の夜泊まれないけど顔見に行くねって 言ってくれてたんだけど

深夜2時過ぎ
眠いの我慢して待ってるのに、全く来る気配がない。
ラインも既読がつかず
…なにやってるんだろ、ほんとに来るよね？

眠気覚ましにベランダに出てみる。
冷たい風が頬を掠めて、鼻がつんとした。
うっすら見え隠れする星、見上げて、目を閉じる。
…飛行機落ちませんように
向こうで悪い事件に巻き込まれませんように
ずっといい天気でありますように
あとついでに
かわいい女の子に出会いませんように

1週間くらい会えないって言ってたな
玲於くんがいない間、何してよう
つまんないなあ

そんなこと考えて少し寂しくなったとき
ピンポーンって、インターホンが鳴った。
玲於くんだ！って、急いで玄関に向かう。

「玲於くん、」

ドアを開けた先
いつも、マスクしたりキャップ被ったりしてるのに
なんにも変装してないその姿。
え、ってびっくりしてたら
そのまま倒れこむみたいに、ぎゅうって抱きついてきて

「え、ちょ、れおくん、」
「んー…ごめん遅くなってー…」

…なにこれ、なんか、すごく嫌な匂いがする
玲於くんの重い身体を必死で支えながら、慌ててドアを閉めた。

「ちょっと、ねぇ、」

とんとん叩いて声をかけるけど
Aってわたしの名前呼ぶだけで、全然会話にならない。

玲於くんの身体中から、お酒と香水が混ざった匂いがした。
女のひとの匂い
嘘でしょ

心の中がざわついてる。
もう2時半
こんな時間まで、どこで何してた？
わたしがひとりで待ってる間に
だれと何してた？

とりあえずソファーに座らせて
お水を持ってこようと思ったのに、身体、全然離してくれない。
離してって言っても、やだよって、ろれつ回ってないけど。
お水は諦め、わたしも隣に座った。
言いたいことたくさんあって、イライラする。
感情が溢れ出そうだけど、堪えてなんとか聞いた。

「……なにしてたの？」

顔赤くて、へらへらしてる玲於くん。
こんなになるまで飲むこと、今までなかったのに

「んー…メンバーと飲んでてー…」
「…うん。」
「めっちゃ楽しくてー…」
「…うん。」
「それで…」
「……それで…？」
「……忘れた。」

女のひともいたんでしょ。
こんなに匂いがつくまで、近くにいたんでしょ。
泣きそうになってる自分が、情けなくて仕方なかった。


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