自由に ページ14
＊
それから、1年と5ヶ月
今
気付けば、付き合ってから丸3年の月日が流れてた。
携帯ゲームを終えて
ベッドの中でスケジュールを確認してる彼
その横顔をちらって見たら
玲於くんも同じようにわたしを見て
「なに？」
「…べつに。」
「お前、べつにが許されんのはエリカ様だけだよ。お前みたいなヤツが言っちゃダメなの。」
「もー…聞き飽きたそれ。」
「え、ちょっと、めんどくさがんないでよ。」
「……。」
「…わかったって、ほら。」
そう言って、携帯雑に放り投げたあと
珍しくわたしのことギュって抱き寄せて、くんくん、首元の匂いを嗅いできた。
お布団がずり落ちそうになったけど、身動き取れなくて そのまま
「…くすぐったいよ。」
「……ミルク…フローラル…？」
「ボディークリーム変えたの。」
「ふうん。」
「……。」
「……明日も来ていい？」
「…ダメって言っても来るくせに。」
「まあね。合鍵も持ってるし。」
「……玲於くん、あのさ、」
「A、はい、こっち見て。」
そう言った後
少しだけ離れて、わたしの頬っぺた むにって摘む。
至近距離で見る玲於くんの目は、本当に吸い込まれそうになるの
困るな、これ
「……好きだよ、玲於くん。」
「……うん。」
「……。」
「……そろそろ寝よっか。」
頷くと、小さく笑って
おやすみって言いながら 電気を消した。
狭いベッドで、ふたり。
玲於くんの寝息が聞こえてきたら
こっそりくっつく
玲於くんの手に触れながらじゃなきゃ、眠れなくなってしまった。
ひとりで眠る日は、寝付くのにすごく時間がかかる。
ずっと一緒にいたいけど
玲於くんはきっと、本気でわたしのことを好きだなんて思ってないし
わたしと別れない理由が
わたしが玲於くんがいなきゃ生きていけないからだとしたら、きっとそれって
自分のためじゃなくて、わたしのために付き合ってるようなもので
…だからつまり
わたしたちが恋人であることは、玲於くんにとって何もプラスにならない。
なるとすればそれは、どんなに遅い時間に遊びにきても、怒らない女の子がいるってことくらい。
玲於くんは芸能人なんだよ。
わたしなんかよりもっと、素敵な人が周りにいるのに。
こんなの嫌だ。
玲於くんを自由にしてあげたい
わたしも少しは大人になったから
別れたくないのに別れたいわたしと
別れたいのに別れたくない玲於くん
夢小説みたいにうまくいかない
こんな、めんどくさい恋愛のお話。
.
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Tatsumi(プロフ) - 初めまして！ただいま、初恋一目惚れして、きなこさんの作品を読ませていただいています。こんなにしっくりくる玲於くんは初めてで、主人公ちゃんのキャラも好きで、今やきなこさんの作品や人間性に惚れ込んでいます。沢山の素敵な作品をありがとうございます！ (2020年3月27日 10時) (
レス) id: ec055f32e6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - きなこさんのお話全部読んでます！！パスワードかかってるやつ昔読んだのですがまた読みたいので良ければパスワード教えて欲しいです！ (2019年10月6日 12時) (レス) id: 5014defe8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - まってました！きなこさん！おかえりなさい！！！楽しみにしてます！ (2019年10月2日 7時) (レス) id: b214cb1e69 (このIDを非表示/違反報告)
ChuRa(プロフ) - ハイスピード大歓迎です！きなこさんの書かれる佐野玲於くんが大好きです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年9月26日 12時) (レス) id: 6da9a38d0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりこ - 待ちきれないので毎日更新してください！！！！ (2019年9月26日 1時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年9月13日 21時
