2分の1ガールフレンド3【佐野玲於】

手錠 ページ22

玲於side




それからずっと
俺は、Aに似てる、ミホちゃんの家で生活してた

でも、似てるのはやっぱり顔だけで
声や性格はまるで別人
だって、歳上だからね
あいつよりずっと



そんな毎日を過ごしているうちに
ミホちゃんの俺に対する気持ちは、だんだん変わっていってるようだった

最初はきっと
かわいそうな男の子、わたしが面倒見てあげようかな、なんて そんな気持ちだったと思うけど


いまは違うって
伝わってくる


なんで昨日帰ってこなかったの？
ごめん友だちと飲んでて
それって、女の子？
違うよ、男だよ
じゃあちゃんと連絡してよ
わかった、次からする


束縛？依存？
なんなんだか、よく分かんないけど
ミホちゃんは、怯えるようになった

俺がいない時間を、恐れているようだった




でも、なんかいまの俺にはそれくらいが丁度良くて
自分を必要としてくれてる人がいるってことが
心地よかった
全然、めんどくさくなかった



なんでかな
Aの顔だからかな
…バッカみてえ
こんなに時間経ったのに
もう、ほくろの位置とか、イマイチ思い出せなくなってんのに



でももしかしてこれって
俺、ミホちゃんを大事に思えてんのかな


Aの代わりだってそばにいたひとだけど
いつの間にか、ふたりの位置が入れ替わって、もしかして、ミホちゃんの方が大事になってる？





ミホ「レオ、ちょっと来て。」




そう呼ばれたのは
21時過ぎに仕事を終えて帰ってきた、とある日の夜

料理上手なミホちゃんが作ってくれた
熱々のロールキャベツ
テレビ見ながら食ってたら、奥の寝室から声が聞こえて




玲於「ん？」


ミホ「これ、好き？」




ベッドの上におねーさん座りして
俺にちらつかせる、男物の腕時計

すっげー良さそうなもの




玲於「なに、どしたのコレ。」


ミホ「ボーナスでね、ちょっとね。」


玲於「え、俺に？」


ミホ「他に誰がいるの？」




ふふって笑った後
俺の腕、取って、そっと手首につけた

…いやいや
OLの給料なんてたかが知れてる
そんな中で、俺に、プレゼント？




玲於「…嬉しいけど…」


ミホ「…なに？」


玲於「…いくらしたの、無理してるでしょ。」


ミホ「全然。わたし節約家だから、大したことない。」


玲於「でもこのブランド…」


ミホ「せっかくプレゼントしたのに、お金のこと言われるのヤダよ。」


玲於「そっか…うん、ありがと。大事にする。」




それはまるで手錠みたいに
俺を縛り付けた


．

終わるんだ→←そっか

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