青と紺のメモリー【剛×玲】

だめ ページ10

Aside







心臓が、痛い






剛典「えー、じゃあほんとに仲良いんだねー。ふたり。」


モモ「うん。Aはわたししか友達いないから。」


剛典「あはは、そうなんだ。」


モモ「彼氏もいたことないし…この子の将来が不安で仕方ない。」


剛典「彼氏いたことないの？可愛いのに。」





そう言いながら、わたしのことを優しい視線で見てくる岩田さん


返す言葉がわからなくて、思わず顔を伏せてしまった。





剛典「…緊張してるかな。笑」


モモ「ごめんね、この子ほんとに男性経験なくて…。A、剛典は大丈夫だよ？」


A「…うん。」






大丈夫とか

大丈夫じゃないとか


そういう問題ではなくて




…初めてなの

こんな感情




気になって仕方ない


わたしいま可愛いかな、とか

今日あのワンピース着てくればよかった、とか






…だってまさか


まさか、モモちゃんの彼氏が岩田さんだなんて。







剛典「Aちゃんってさ、部署どこなの？」


A「…わたしは、あの…受付してて…」


剛典「えっ、受付？」


モモ「化粧品メーカーの受付嬢だよ？凄いでしょ。」


A「…けど、仕事できないもん。」


モモ「まあでもその分記憶力いいから。お客さんの名前すぐ覚えちゃうんだよ。」


剛典「へえ。だってみんなから好かれる顔してるじゃん。受付嬢さんにぴったり。」






もちろん褒め言葉、って付け足した岩田さんは

そのままの笑顔でモモちゃんを見て、幸せそうに、ね？って 問いかけた。





…付き合ってるんだ

このふたり



モモちゃんが、わたしに紹介したいくらい好きな相手って

岩田さんなんだ






A「…ふたりは、その…どこで出会ったの？」


モモ「…友達の紹介？」


A「友達の紹介…」


モモ「…いわゆる、合コンってやつ。」


剛典「お互い人数合わせで顔出したのに、いつの間にかこうなってたね。笑」






合コンに行ったら、岩田さんに会えるの？


会えたら、彼女になれるの？





どうしよう


たまらなく、つらい





岩田さんがモモちゃんに笑いかけるたびに

わたしの中の何かが締め付けられて


見たくなくて、涙が出そうになって





…だめ


こんな気持ち、絶対、認めちゃだめ






モモ「よし、そろそろ出よっか。」


剛典「うん。」






そう言って立ち上がったモモちゃん





そのヒールに散りばめられたラメが

わたしを責めるように光っていた。





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