青と紺のメモリー【剛×玲】

初めまして ページ9

Aside






A「ねえ、モモちゃん、ほんとに良い人？」


モモ「うん。すごく。」


A「いつから付き合ってるの？」


モモ「1ヶ月くらい前かな。」


A「そんなに前？」


モモ「言うタイミングなくって。」






彼氏の話をされて、早20分


デザートは既に食べ終わってしまったから、大好きなメロンソーダを飲んでいた。




1ヶ月前から付き合ってた、なんて

言うタイミングなかった、なんて


嘘だよ、たくさん会ってたのに。




そもそもどこで出会ったの？


わたしと同じ会社って、人多いから知らない人だとは思うけど

でも、もっと早く言ってくれてもよかったのに。






モモ「もうそんな怒った顔しないでよ。笑」


A「…だって、やだもん。モモちゃんのこと取られちゃう。」


モモ「だから…わたしは彼氏よりも友だちを優先させるタイプなの。わかってるでしょ。」


A「…ほんと？」


モモ「ほんと。…大丈夫、Aのことひとりぼっちにはしないよ。」


A「…じゃあ許す。」


モモ「ありがとうございます。」





変なの、なんて

ふたりで目を合わせて笑った。




綺麗なモモちゃん


たぶん死ぬまで、わたしたちは親友でいられる

ずっとこの距離でいられる




モモちゃんに出会えてよかった、って

そんなことを思っていたとき









不意に記憶を呼び起こす



…この、甘い香り







慌てて後ろを振り返った


その先に立っていたのは








剛典「お待たせ、モモ。」








…もう二度と


もう二度と、こんな距離で会うことはないって



そう思っていたはずの、岩田さんだった。






モモ「ごめんね呼び出して。」


剛典「平気平気、すぐ近くだし。」


モモ「…A、この人が、わたしの彼氏。」






目の前でそう微笑むモモちゃん


その隣に座った岩田さんは、わたしの目をはっきりと見つめて







剛典「初めまして、岩田剛典です。」







確かに、そう言った。






A「…初めまして。」


剛典「モモから話は聞いてます。一番の親友だって。」


モモ「そうそう。どう？見たことある？同じ会社だと思うけど。」


剛典「いや…さすがにあの人数の中から出会うのは難しいかも。笑 ね？」


A「…はい。」







…初めましてじゃないんです、って

昨日エレベーターで一緒になったんです、って





言いたかったけど

言えなかった。




．

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