青と紺のメモリー【剛×玲】

見かける ページ20

Aside






次の日





お昼過ぎにモモちゃんと待ち合わせして

カフェで色んなことをお喋りしてた。




大体は、仕事の愚痴







モモ「ほんと、辞めたいな。辞めないけど。」


A「わたしも。辞めないけど辞めたい。」


モモ「そんなもんだよね。」






パフェをつつきながら

ぼーっとモモちゃんを見る




意志の強そうな眉に

切れ長の大きな目

鼻は高くて、唇も赤くて




…美人だなあ





それに比べてわたしは

どこか垢抜けてないし、幸薄そうな顔してる



いやだ、ほんとに






モモ「さて、じゃあ来週の旅行どうする？」


A「あっ、それがね、ママが顔出せってうるさいから、実家に帰ることになっちゃって…」


モモ「あーそうなんだ。」


A「けど一週間もいないと思うから、日帰りでどこか行きたいな。」


モモ「そうだね、じゃあレンタカー借りて…江ノ島でも行く？」


A「え！行きたい！」


モモ「決まり〜」






モモちゃんと江ノ島、2回目かな


前は神社巡りしたの

楽しかったなあ






モモ「えのすい行こうよ。えのすい。」


A「水族館？」


モモ「そうそう。」


A「うわあ…すごく楽しみ。」





そのあとネットで調べたりして

こんなイベントしてるんだって、なんてはしゃいで




すごくすごく、幸せな時間







…あのひとの存在を、思い出すまで








A「じゃあさ、じゃあさ、夏休み始まってすぐ行こうよ。そしたらママたちにお土産買えるから。」


モモ「あーそうだね、そうしよ。」


A「お土産なにがいいかな〜」


モモ「わたしも剛典に買って帰んなきゃ。」







剛典、と


その名前を聞いた瞬間、無意識に背筋が伸びる





…どうしよう

顔に出ちゃう







モモ「…ん？どうしたの？」


A「…え？」


モモ「顔こわばってるよ？笑」


A「…そうかな。」


モモ「…えっ、なに？剛典が何かした？」


A「ち、ちがうよ！何もないってば。」


モモ「ほんと？」






あの人無神経なとこあるから、って

ため息ついてる。




…違うの


岩田さんは何もしてない

わたしが、好きになってしまっただけ







モモ「Aちゃんのこと毎日見かけるって言ってたよ。受付だもんね。」


A「…うん。」







そっか



岩田さんにとっては、見かける、程度のものなのか







わたしはいつも


今日も会えた、って、そう思っているのに。






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