青と紺のメモリー【剛×玲】

恋 ページ13

Aside







暗い502号室


そのドアを開けて、ソファーに倒れ込んで…







A「…あれ…」






気が付くと、もう21時を回っていた。



寝ちゃってたんだ

制服シワシワになっちゃったよ





はあ、とひとつため息をついたら

暗闇の中で光る、携帯のディスプレイが目に入って






モモ [ A、剛典がね、釣りが好きって教えてくれてありがとう、だって。 ]


モモ [ おかげで契約とれましたって ]






そんな、モモちゃんからのライン



もしかして、釣りの話で盛り上がったのかな

それで向こうが機嫌良くなって、契約取れたのかな




…どうしよう

なんだか、すごく嬉しい




ニコニコしてる岩田さんの顔が頭に浮かんで

自分のことみたいに幸せだった。






立ち上がって電気をつける


それだけで、世界が広がったように思えて

岩田さんの存在だけで、視界が透き通って見えて…







…たった、1分


たった1分目を合わせていただけなのに、こんなにも惹かれてる。





こんなの変だって

わかってるのに、止まらない



むしろもっと、濃くなる、強くなる







A [ わたしはなにもしてないよ ]


モモ [ そう？Aちゃんのおかげ、って、今隣ではしゃいでるよ。笑 ]







…でも


この人だけは、どうしても叶わないの




岩田さんには好きなひとがいる


それは、わたしの唯一無二の親友で

世界で一番、大切なひとで






ふたりは、すごくお似合いで








A [ 一緒にいるの？ ]


モモ [ うん、明日も仕事なのに。笑 ]


A [ お泊まり？ ]


モモ [ そうなりそう ]







…いいな


岩田さんが隣にいるなんて




なんか、想像もできないけど

ただ 幸せだってことはわかる







今までの人生で一度も感じたことのない、この気持ち





…これが恋だって

嫌でもわかるよ





モモちゃんから 彼ができたって話を聞くたびに

いいなあって思ってたの。






わたしも恋がしたい

好きなひとが欲しいって、思ってたの。






でも、よりによって…







A [ 岩田さんに、よろしくお伝えください。 ]


モモ [ はーい、伝えとくね ]


A [ おやすみ ]


モモ [ おやすみ！ ]







親友の彼氏を好きになってしまうなんて

こんな辛いこと、ある？






…けど、大丈夫だよね


きっとすぐ、忘れられる

無かったことにできる







そう自分に言い聞かせて

悲しい恋心を 必死に押し殺していた。






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