冬色シルエット【白濱アラン】

なんとか ページ15

亜嵐side





「白濱せんせ〜」


亜嵐「ん？」


「…なんか白濱先生って言いにくいよな。」


「うん。なんだったっけ。…あらん？」


亜嵐「そうそう。笑 亜嵐。」


「じゃああらん！」


亜嵐「いや、笑 せめて先生はつけてよ。笑」






掃除の時間


生徒に混じってホウキを持ちながら、アホっぽい男子数人とそんなお喋り




黒板の横の掲示物取り替えてるA先生が、笑いながら聞いてた。






「てか先生ぜったいモテるでしょ！」


「めっちゃ顔綺麗じゃん。」


亜嵐「…まあ、君らよりはモテてるかなー？ってくらい。笑」


「うわ！ムカつく！笑」


「俺らもなかなかモテますけど！」


亜嵐「ちょ、笑 自分で言わないで。笑」





俺ってなんか、子どもが好きみたいで

こうやって喋ってる時間が一番笑えてるかも。


他愛ない話だけどさ

まあ、それがいいんだよ。





教育実習も4日目に入り

授業こそまだ持たせてもらえないものの、ようやくこの生活に慣れてきた。




授業見学と、教材研究と、指導案作成


放課後準備室に居座ってパソコンと向き合ってるけど、18時過ぎたら、絶対A先生が来てくれんの。



どう？って、優しい笑顔で聞いてくれる。





…あの笑顔があれば俺、なんだって頑張れるな。







A「あ！菊池くーん、ね、手伝って。」






A先生はいつもこうやって

クラスに上手く馴染めてない子に話しかける。


放課後もたまに2人で話してるとこ見るし



先生としての仕事、ちゃんとこなしてて

また尊敬したり、俺も真似しようって思ったり。







亜嵐「…僕も手伝いましょうか。」


A「…僕ってキャラじゃないよね？笑」


亜嵐「いいじゃないっすかもう。笑」






なんとか、なんとか、保ててんだよ


この距離感




もうこれでいいかな、とも思ったりするけど

…まあたまに、思い出すんだよね。俺の心臓が。



それだけかも、今の悩み事。






A「菊池くん、画鋲とるの上手いね！指痛くないの？」


菊池「…いや、痛くないです。」


A「どうやって取ってるの？わたし爪剥がれそうで…」


菊池「…爪っていうか、指で押し上げたら結構取れます。」


A「指で？…あ、ほんとだ！すごい、とれた！」


亜嵐「…てか普通爪じゃ取んないでしょ。笑 ねえ、菊池くん。」


菊池「…そうっすね。」







バカにしてるって笑った先生の横顔





…あーもうほら


またキュンとした。



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