ユアマイドール【佐野玲於】

悔しい ページ39

Aside






涼太「なんかさ、ほんと懲りないんだよね。玲於の前だと超ドMだから！」


チカ「え、てことは玲於がSなの？」


涼太「そうだよ。玲於なんていっつもSじゃん。笑」


チカ「そうだけど…わたしには全然Sじゃないよ？笑」


涼太「んー？まあ俺の彼女だからじゃない？」





違うよ、違うよ


チカさんのことが好きだからだよ





チカ「えー、玲於、こんな可愛い子に好かれてるのに…なんでだろうね？」


涼太「ね。メンバーみんな言ってるよ。付き合っちゃえばいいのにって。」


A「…そ、そうなの？」


涼太「うん。だってなんかお似合いじゃん。」


チカ「わたしも思う。お似合いだよ、ふたり。」





嬉しそうにそう言うチカさん



…玲於くんのこと、何も思ってないんだ。


わたしにそんなこと言っても平気なんだ。





…ずるいな


チカさんは玲於くんに好かれてるのに

なのに、こんな綺麗な顔で、わたしとお似合いだなんて言って笑うの。




……ずるいよ。






A「…玲於くんはわたしのこと、べつに好きじゃないし…」


涼太「Aは大好きなのにね。」


A「……うん、大好き。」





…大好き


バカみたいだけど、どうしても諦められないの





自分の失恋だけじゃなくて


玲於くんの気持ちにすら、悲しさを覚えてしまう。




嫌で、苦しいはずなのに


玲於くんがつらい思いをするのも嫌だ、なんて、そんな綺麗事。






チカ「叶うといいなあ、4人でダブルデート行きたいね。」


涼太「いいねー、玲於嫌がりそうだけど。笑」


チカ「意外とはしゃいでくれるかもよ？笑」






そう言うチカさんの笑い声が

耳に残った。



…悔しい。






チカ「あ、Aちゃんご飯おかわり食べる？頼もっか。」


A「…食べたいです。」


チカ「いっぱい食べるのも可愛い！笑 あー、妹みたいどうしよう〜」


涼太「相当お気に入りじゃん。笑」


チカ「大好きになっちゃった。」






…なんでもっと、嫌な人じゃないんだろ




偽善者だったり 八方美人だったり


そんな人なら、簡単に嫌いになれたのに。





でも思うのは


玲於くんが好きだって思う人が

悪いことなんかするはずがないってこと。






…悔しいな



こんなんじゃ、玲於くんを想い続ける意味が分からなくなる。








探しても探しても





この人に勝てるところなんて


わたしにはひとつもないんだから。



．

バカ→←完敗だ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す