ユアマイドール【佐野玲於】

完敗だ ページ38

Aside






チカ「でね？お隣のフランス人の名前、右がマリーヌで左がカリーヌだったの。覚えられるわけないじゃん？笑」


A「すごい、どっちがどっちか分かんないですね。」


チカ「そうなの。何回も間違えて呼んじゃって！」


A「現地の人からしたら簡単なのかもしれないですけど…」


チカ「そうそう、たぶんこっちで言うマホちゃんマキちゃんくらいのノリだよね。」


A「ですね、それも向こうの人からしたら意外と難しいのかも。」


チカ「海渡ると色々わかんなくなるよね〜。…あ、涼太お肉焼けた？」





…やばい、なんだこれ



チカさんの巧みな話術のおかげで

人見知りで内気なわたしがすっかり消えてしまった。




涼太くんが焼いてくれたお肉をモグモグしながら

こりゃ完敗だーなんて考えてた。





チカ「ねえ、Aちゃんの髪色すっごく綺麗だね。」





同じくモグモグしてるチカさん



…髪色綺麗って、前に玲於くんから言われたことあったなあ。





涼太「Aさあ、高校生の時くらいから染め出して…親からも先生からも叱られてたよね。笑」


A「…だって我慢できなかったんだもん。」


チカ「いいと思う！オシャレに一生懸命な子、わたしすごく好き。」





目を輝かせながらそう言ってくれるチカさん



…もっと違う出会い方をしてたら

わたしたぶん、チカさんのこと大好きだった。




上手くいかないなあ

人生って。






チカ「お肌もぷるぷる…何かしてるの？」


A「…お風呂上がりにパックしてるのと…あと、月一でエステくらいです。」


チカ「わ、すごい！エステかあ。わたしも行こうかなー。」


A「チカさん今でも十分綺麗だから必要ないですよ、」


チカ「…本気？笑」





本気もなにも、高嶺の花すぎて女のわたしでも手が届かないよ。


全部揃ってるもん。




何て思ってまた落ち込んでた、そのとき







涼太「Aは玲於のために頑張ってんだよね〜」






何の前触れもなく

笑いながらそう言った涼太くん



…待ってよ、チカさんの前でそんなこと…





チカ「え？玲於？」


A「あ、いや、違くて…えっと…」


涼太「Aさあ、ジェネの専属なった時からずっと玲於に片思いしてんだよ？笑 全然見向きもされないのに。笑」


チカ「え、そうなの！Aちゃんのこともっと可愛く思えてきた！笑」






…ああ、もう


やっぱり来なきゃよかったよ。




．

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