ユアマイドール【佐野玲於】

嘘つき ページ34

Aside






A「…絶対太った。」


玲於「俺今日作った筋肉全部消えたわ。」





日付けが変わった、夜中の1時

例のラーメン屋さんを後にした。




夜になっても連絡がこなくて

ラーメン行こうなんて嘘だったんだ、とか思って落ち込んでたら


23時になった頃、突然電話が来たの。




用事済んだからラーメン食べよ、って。




慌てて着替えてメイクして

マンションを飛び出した。





玲於くんには会いたくないはずなのに

呼び出されたらこうして従ってしまう。




わたしって、ほんとにバカだ。







玲於「結局餃子お前が3個食ったじゃん。」


A「…だって残してたから、いらないのかなーって。」


玲於「最後に食べようと思ってただけだし。」


A「じゃあそう言ってよ。」






会って気付いたのは

チカさんとわたしに対する態度が全然違うってこと



チカさんの前ではいつもクールだし

あんまり喋らないし



わたしのこと散々に言ってるときの顔とは大違いだもん。






A「…はあ、」


玲於「…なに、そのため息。」






こうやって送ってもらっていても


もしここにチカさんがいたら

わたしはひとりで帰るんだろうなあ、なんて考えちゃったり。






A「…はあ、」


玲於「だから何？食べ足りない？」


A「…ううん。」


玲於「じゃあなんのため息なの。」


A「…なんでもないの、ごめんなさい。」






…チカさんみたいに

もっと素直で優しくて、可愛い性格だったらな






玲於「…なんかやっぱ、最近おかしい。」


A「…え？」


玲於「元気ないじゃん。気になるんだけど。」





…ああ、もう

また嬉しくなっちゃう。



この人が好きって、意識がそっちに動いてしまう。



玲於くんにとってはなんの意味もない言葉でも

わたしにとっては全部宝物なの。






A「…ううん、ほんとに平気。ありがとう。」






めんどくさい子になりたくなくて

いつもみたいに笑ってみせた。



お前いっつも笑ってんじゃん、って

玲於くんに言って貰えるように。





…でも







玲於「…そんな嘘つきの笑顔、全然可愛くない。」






……ああ、もうマンションに着いてしまった。


バイバイしなきゃ

送ってくれてありがとうって、言わなきゃ。







A「…嘘つきにさせるの、玲於くんじゃん。」







…何言ってるんだろ、わたし



こんなこと言ったって

自分が傷つくだけなのに。



．

小さな背中→←いつまで

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す