素直になれなくて《O.S》１ (ページ1)

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新しい制服

新しい靴

新しいカバン

もうあたしも高校生か…って思いながら、

普段着に着替えて、

さっきまで見に纏ってたそれらを見つめる。

「あ、おかえり、お兄ちゃん！」

玄関の扉が開いて、いつもより早くお兄ちゃんが帰ってくる。

潤「ただいま。ん、これ、ケーキな。」

「やった！ありがとー♪」

潤「すぐ作るから待ってな、スパゲティにしてやるから。」

「ほんと！？ふふ、楽しみ～」

夕食は必ずお兄ちゃんが作ってくれる。

この生活にも、もう慣れた。

両親が離婚して母に引き取られたけど

再婚相手の男に、あたしがヒドイめに遭わされそうになったのをキッカケに、お兄ちゃんと2人で暮らし始めた。

娘がそんな怖いめに遭ったっていうのに、それでもその男と離れようとしなかった母に、お兄ちゃんが愛想を尽かしたんだっけ。

もう思い出したくもない。

そんなことをぼんやり考えてると、キッチンからお兄ちゃんの声が聞こえた。

潤「はいはい、ボーッとしてないでテーブル片付けてお皿出して。」

「はぁい、花柄のやつで良い？」

潤「ん、いーよ。」

カチャッと音を立てて花柄のお皿を取ると

あたしの大好きな、スパゲティの匂いが漂ってきた。