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10_オシエテ▪ハ▪アゲナイ ページ10

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 埃と血生臭ささが充満する廃工場。



 『指名で用なんて妾も随分と有名になったもんだねェ?』



 足元には水溜り。前には相当な数の男。女性一人に対してこと数の男性。
 はなから話し合いをする気はあるとだろうか

 代表らしい、ボスらしい男が私に話しかけてくる。正確には与謝野に。

 簡単な話し、与謝野女医を勧誘すると言うなんとも有りうることの無い話だ。



 只、話し方は上手い。勧誘を勧誘と思わさせず確実にこちら側に率いる
 話し方だ。取り引き云々で負け無しだったのだろう。


 だが、舐めてもらっちゃ困る。こちとらあのポートマフィアとも、猟犬とも交渉した
 日本随一のお貴族のお嬢様、いや当主様だ。



 
 『美味しい話だねェ只、妾にとっては味気ない人生になりそうだから辞めておくよ』

 『悪かったね、”無駄な”時間を取らせて』


 
 そう言うと八方向から、拳銃が向けられる。







 『ふふ、随分なお別れの挨拶でありんすね。』

 「ッ!、誰だお前は!!!」





 明らかに雰囲気がわかった女に対して焦りを覚える。ある程度の知り合いでも騙せるくらい
 彼女の人物模写は完璧。此れが異能ではないので尚更凄い。
 

 『まあ、わっちも大概でありんす。先に謝っておきりんすね。悪うござりんした。』



 ネクタイを取り、ブラウスのボタンを外し


 『異能力、雷神』



 
 
 男たちは怯えながら一人一人倒れていく。男の山に佇む女は清々しい顔で言った。



 『さてと、帰えりんしょうか』







 「乱歩さん、落ち着きな火蕨さんなら大丈夫だ」


 
 先程から探偵社の名探偵は凄くそわそわしている。
 お菓子を食べて、敦をからかって、またお菓子を食べる姿はどうも落ち着きがない。

 


 「だってさ、魅緑の異能力は胸から刀を出すんだよ?落ち着ける訳が無いよ、」




 何年立ってもなれないの!と吐き捨てる彼を横目に
 与謝野はあー、と言う顔をしてだからサラシを巻くのを嫌がったのかと分かった。
 
 その時と同時に、ガタッゴトッガンッと鋭い音が太宰のデスクから響いた。



 「胸、から、……魅緑の……?胸から、…はっ?」
 

 
 頭を地に着け、珍しく動揺を露にする太宰の顔は
 真顔だが、顔色は異常に熱を持っている。太宰は流れるまま乱歩に視線をずらした。




 名探偵は笑って



 「魅緑の事、太宰になんか教える訳ないでしょ!」



 言い放った。



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あっぴー - あっ…好きです!おもしろいです! (2月18日 23時) (レス) @page13 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
アディショナル(プロフ) - とってもおもしろいです!異能力は雷電将軍かな?頑張ってください! (2月9日 23時) (レス) id: c16c35d125 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんふらん(プロフ) - とてもとてもべりーべりー最高です。夢主様の口調やら乱歩さんと太宰さんとの関係とか諸々好きです。とても尊敬です。 (2月3日 23時) (レス) @page8 id: 13e4982fef (このIDを非表示/違反報告)
すあ - とてもおもしろいです! (1月25日 15時) (レス) @page5 id: b296360cb1 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺 - 夢主ちゃんの使ってる言葉からして、めっちゃ好きです。がんばって下さい! (1月15日 13時) (レス) @page3 id: b34111cf4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸町 | 作成日時:2024年1月8日 21時

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