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13_メンヘラ▪カノジョ▪デスカ ページ13

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 「いま、他の男のこと…考えてたでしょ、うウッ」


 面倒臭い彼女?


 「もう心中する。」


 やめて。メンヘラさん。

 うざいなと思いつつ煙草とライターを取り出す。


 

 「…………………きみ、煙草吸うの?前は吸って無かったのに。」

 『元彼みたいでありんす。』

 「……今カレだよ。」

 『ご冗談を。』



 魅緑は別に煙草は好きじゃない。只、付き合いと言うものが存在する故に
 慣れて置かなければならなかったのだ。




 「………御免ね。」
 


 太宰が消え返りそうな声で言う。


 今更謝られても困る。死んだ両親は帰ってこない。泣いた涙は戻らない。
 謝罪一つで全て戻ってきたなら許す事は苦ではない。けれどもそんなことは起こり得ない。
 
 
 魅緑はなにも言わず紫色の煙を空に吐く。



 「私も友人が帰らぬ人となってしまったんだ。」

 

 だから許せと。



 「謝って許される事じゃないし、ゆr『辞めないんし』……」

 『お願いだから辞めてくだしゃんせ』



 貴方の策略は知ってる。同情誘って許して貰う。何度も何度もその手に引っ掛かって来た。
 

 彼女はわかっている。自分がそういうのに弱いのを。太宰治だからでは無く元から可哀想な人に
 弱く、同情心と共感性が強い。自分がそう言う性格だとわかっている。


 火蕨家の当主としてしっかりとしなければならない時その自分の性格にどれだけ
 悩まされたことか。
 



 『わっちは主さんの全てが大嫌いでありんす。』
 
 「………うん。」

 『銃口を突き付けられたあの恐怖は今でも忘れらりんせん。』

 「うん。怖かったよね」

 『無闇に人を殺めなさる方は好きじゃありません。』

 「………う、ん?」

 『……ですがあの頃は貴方に本気で恋い焦がれていました。』



 彼女の言葉に嘘偽りは無い。
 名家の娘たるもの自分の想いに嘘は付いてならぬと教えられていた。



 『両親を殺してしまった事への謝罪はいりません。』

 
 其れは仕方がないと乱歩に話したように彼にも伝えた彼女。


 『謝罪ならば太宰治に弄ばれた私の心にお願いいたします。』


 
 太宰が憎たらしく思っていた瞳は今でも健在でこの世の何よりも美しい。そんな瞳に射貫かれた
 太宰はもう手遅れだと思った。もう彼女に完全完敗だ。もう完全に惚れ込んでしまった。
 



 「(嗚呼、君はこんな私でも)」


 そんなに正面から向き合ってくれるんだね。



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あっぴー - あっ…好きです!おもしろいです! (2月18日 23時) (レス) @page13 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
アディショナル(プロフ) - とってもおもしろいです!異能力は雷電将軍かな?頑張ってください! (2月9日 23時) (レス) id: c16c35d125 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんふらん(プロフ) - とてもとてもべりーべりー最高です。夢主様の口調やら乱歩さんと太宰さんとの関係とか諸々好きです。とても尊敬です。 (2月3日 23時) (レス) @page8 id: 13e4982fef (このIDを非表示/違反報告)
すあ - とてもおもしろいです! (1月25日 15時) (レス) @page5 id: b296360cb1 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺 - 夢主ちゃんの使ってる言葉からして、めっちゃ好きです。がんばって下さい! (1月15日 13時) (レス) @page3 id: b34111cf4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸町 | 作成日時:2024年1月8日 21時

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