太宰治に弄ばれた惨めな私。

12_ナキムシ▪オブ▪ダザイ ページ12

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　『嫌でありんす。と言うか主さんが触れたら消えるでいんしょう？』
　(主さん=貴方)

　｢…………あ“ぁ自分の異能が憎たらしい｣



　この人本当にヤバいかもしれないと彼女は思う。それもその筈、彼女は太宰のデレなんて
　見たことも感じたことも無い。だから此れもデレだと言うことも気付いていない。
　


　『……………わっちの異能力は伝統でして、火蕨家の当主になれば得られるものでありんす。』

　『両親が亡くなったのでわっちが当主になりんして異能をひきとなんした。。』


　哀愁漂う笑顔で彼女はそう言った


　｢、……、…そうだったのかい。｣


　緩やかに手を離される。



　『！？な、なんで泣くのでありんすか？』

　｢うっ、……｣




　聞こえるか聞こえないかわからない位の小さな声で嗚咽を吐き、ボロボロと涙を流す太宰。



　貴方はそんな人じゃ、
　何時も冷たくて、私の事なんてどうでも良さそうで、愛想笑いをしていて、苦しそうで、

　私に弱みをだした事はないのに

　何なの。

　えっとこう言うとき…どうすれば、




　『よし、よーし？』


　乱歩が良く泣いて居た時こうしていたことを思いだし太宰にも同じ事をするが
　魅緑がそうするとより泣く太宰。


　『…………』




　無言だか、相当焦っている魅緑。


　『しょ、少々太宰殿借りんすね！』


　早々と太宰の手を引っ張って探偵社を出る
　


　｢………はーウザ、元カレの癖に｣


　ボソッと呟く乱歩には気付かず。






　雷刀は私の手から離れて、時間が立てば勝手に消える。
　服は乱歩と与謝野女医に返した大丈夫。
　太宰殿が泣いたのも乱歩以外は気付いていないから心配はいらない。


　けど


　『何時まで泣いてるでありんすか。わっちは悪女か何かでありんして？』




　腕を引き、ヨコハマの町を散歩？巡回？してる間ずっと泣いてる太宰。
　周りの目もあって気分はすっかり悪女になったよう。



　こんな幼女みたいな方だったっけ、

　こんなに泣かれてはカフェにも入りづらいのでその辺のベンチに腰を掛ける。二人並んで。




　｢うー、…、こん、なに泣いたのは初めて…うッ｣


　
　うん、でしょうね。私も生まれて初めてでは無いが
　成人男性がこんなギャン泣きしてるのを見るのは片手で数えるくらいしかない。

　乱歩は例外。もうあの人はスッゴい泣く。もう吃驚するくらいどうでも良い事でも直ぐ泣く。



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