検索窓
今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:42,360 hit

おやすみなさい ページ4

Aside







『アンタたちさ、これからどうするの?』







依然春千夜が気絶してる中、佐野万次郎の遺体が並べられている寝室を出た後に私はその場に残っていた幹部たちに問う。意見は勿論それぞれだった。今からでも真っ当な道を歩もうとする者、変わらずこの業界に残る者。後者がほとんどの意見だった。そんな中、「コイツはどうするんだろうな」と鶴蝶は気絶している春千夜を見た。鶴蝶だけではない。他のメンバーたちも一斉に彼を見た。そして、この場にいる全員が共通してある一つの言葉を脳裏に浮かべただろう。


“死”だ。


ただでさえさっきだって首に刃物を突き刺して死のうとしていたのだ。目を覚ましてからだってきっと何度も同じ行為に走るだろう。そして、目の前にいる犯罪者共(コイツら)はそれを一切止めようとはしないだろう。さっきそれを止めたのは、混乱と動揺と、そして焦りが混ざっていたからに違いない。しかし、佐野万次郎の死を受け止め、いつもと変わらぬ顔立ちに戻った彼らにとって、他人の死なんてもはやどうでもいい。そうゆう奴らなのを、私は知っている。

だから私が、私が春千夜の傍に居てあげないといけない。今の彼に寄り添えるのは私しかいない。拳を強く握り締め決意していると、「お前はどうすんの?」と蘭が聞く。







「まさかコイツと居んの?」

『当たり前でしょ。そもそも私は春千夜に“俺を支えて欲しい”ってお願いされてここに居る。こうゆう時に傍にいないで、他に何をすればいいの?』

「…お前も相当狂ってるよな」







そう言うと蘭は「お前らとの長旅も楽しかったぜ。じゃあな」と言い残してこの部屋から出た。竜胆は「待てよ兄貴」と言いながら特に何か言い残すわけでも無く蘭を追いかけて行った。他のメンバーも少しずつ新たな道へと進んでいく中、私と春千夜だけがこの場に残った。

これから一体何をしよう。このクスリに塗れた男と、どうやって生きていこう。元々一緒には住んでいたものの、これからの生活はこれまでとは全く違う。佐野万次郎を失った春千夜に、いったい何をしてあげられるだろうか。私の事を好きになれば、少しは和らぐのではないか。

本当に私の事、好きになればいいのに。







『おやすみ、春千夜』







貴方の夢が、まだ覚めませんように。
私は眠っている春千夜の額にキスを落とした。

モノクロに沈む→←昔からずっと



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (185 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
426人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひめ☆そら(プロフ) - 悠さん» ありがとうございます!私も梵天ifは見たことないなぁ…と思いながら作らせて頂きました!最後までどうぞよろしくお願い致します! (2021年9月3日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
- 梵天でこういったifみたことなかったので楽しみです!更新待ってますね!!! (2021年9月3日 19時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひめ☆そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月31日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。