廃墟 ページ41
Aside
『…何？これ』
「…っ」
千冬くんは直ぐに部屋を出て事務所のテレビで同じ配信を映した。一虎にスマートフォンを取られた私は事務所に出てそのままテレビに釘付けになる。どうして佐野はあんな所にいるのだろう。一歩間違えれば落ちてしまう。
彼は今、何をしようとしてるの？
『ここ、どこ』
「…ボウリング場だ」
『え？』
「昔梵天がアジトにしてた、今は潰れたボウリング場」
一虎は確信があるかのようにそう言った。ここら辺で潰れたボウリング場と言えば一つしかない。私は急いでそこへ向かおうとするが、一虎に腕を掴まれる。その手は微かに震えていた。
「お前が行ってももう間に合わねぇよ」
『何？間に合わない？一虎は佐野が今から何をしようとしてるかわかるの？』
「…お前だって、分かってるだろ」
『っ、』
すると、テレビから「行くぞ！！お前ら！！」と貼り付けた笑顔を向けた佐野の声が聞こえてきた。そして、佐野はそのままジャンプした。ヒュッと息を飲み、腰が抜けてペタリと座り込んだその時だった。窓から血だらけの誰かが佐野の手を掴んだ。あの髪型に黒い髪、まさか、
『…武道？』
「…は？何で、タケミッチがあんなとこいんだよ」
「…」
武道は凄い血だらけで佐野に何かを訴えているようだった。けど、二人の会話はあまり聞こえない。動きたくても、腰が抜けてて動けない。私は今、武道に委ねることしか出来ない。
でも、もしここで武道が死んでしまったら？佐野は確実に死ぬだろう。けど三日後は結婚式。ヒナタも凄く幸せそうだった。きっともう過去には戻れない。つまりこのまま時は進んでいく。やだ、ダメだよ。武道たちは幸せにならなきゃダメだよ。
何も出来ない自分が嫌いだ。下を向きギュッと噛み締めた唇から鉄の味がした。
「おい！！！万次郎！！！！！一度だけでいいっ！“助けてください”って言えやぁぁぁぁぁぁぁ！」
『…』
武道の、そんな言葉が聞こえた。それから直ぐに周りの悲鳴も聞こえてきた。テレビに視線を変えると、泣いている佐野と武道が手を繋いだまま落下していた。そして何が破裂する、嫌な音が響いた。その音で確信する。
佐野が、死んだ。
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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