どら焼きくれよ ページ18
Aside
ここに私の会社が記載されているということは、私の会社は梵天から幾らかの資金を頂いているということになる。まぁ、だからといって仕事に影響する訳では無いからどうという事でもないが。けど、これでどうしてあんなのが部長でも仕事が回るのかっていうのは理解した。しかし、私は知らない内に梵天の手の内にいたってことになる。そう思うと少し鳥肌がたった。
「次は、○○駅〜○○駅に止まります」
『…はぁ』
私はため息をつきながら電車を降りる。このまま家に帰りたいところだが、ミーちゃんのキャットフードを買いに行かなければならない。私は最寄りのスーパーに寄って買い物を済ませた。ここのスーパーは自動ドアの入口付近に出店でどら焼きが売っている。それも、私が昔から大好きだったあのお店の。定時上がりのご褒美として、久しぶりにそこのどら焼きを二つ買った。
『…今日は暑いな』
あの日も、暑かった。ただひたすらに、暑かった。
どら焼きを見ると、どうしても思い出してしまう。佐野と出会った、あの夏の日を。
『…佐野』
自分のマンション付近まで歩いたところで、その名をポツリと呟く。特に意味は無かった。ただ、彼の名前を言いたかった。名前を呼べば、「なぁに？」って、あの頃の佐野に会えるんじゃないかって。後ろから目を隠して、「だーれだ！」ってふざけてくるんじゃないかって。そんなただの幻想に私は期待してしまっている。もうあの頃に戻れないことは分かってる。時間は進むことしか出来なくて、私たちも前に進むことしか出来ない。けど、それがどんなに辛いことなのか、私は知っている。
私はエレベーターに乗って、自分の階のボタンを押す。エレベーターが上に上がるのと同時に何とも言えない浮遊感が私を襲う。ガコン、とエレベーターの止まる音がして扉が開くと、私の家の前に白髪の男が立っていた。私は思わず持っていたスーパーのビニール袋を落とす。その音に気づいたのか、その男はこちらを向く。
『…何で、』
「どら焼きの匂いがする」
『…』
「一個くれよ」
彼は、あの時と同じ言葉を並べて笑った。
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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