人殺しとのキスは ページ4
Aside
『んっ、』
いきなりのキスに戸惑いながらも佐野の肩を思い切り押すがビクともしない。触れるだけのキスは次第に深くなり、酸素を必要とし、無意識に口を開くと、そこに舌が入ってくる。ぴちゃぴちゃと舌の交わる音だけが耳に入ってくる。それが恥ずかしくて、思わず彼の頬を叩くと、長かったキスはようやく終わった。最初からこうしてれば良かったと後悔した。
『はぁ、はぁ、いきなり何！！』
「何って、キスだけど」
『それは分かってるけど！けど、』
横に倒れてる死体を見ながら、私は佐野を再び見る。この男を、佐野は殺した訳で。それはつまり、私は今人殺しとキスをしたってことで。そんな事をグルグルと考えていると、佐野はまた私にキスをした。今度は触れるだけのキスを。何度も何度も。
「どう？人殺しとのキスは」
そして佐野は、私の思考を読んでいるかのようにそう聞いてきた。
『…最悪だよ』
「助けてあげたのに酷い言い様だな」
『誰も助けてなんて頼んでない』
「じゃあ、あのままどこの誰かも知らない奴に抱かれても良かったんだ」
『…別にいい』
「へぇ、嘘つき」
佐野はそう言うと、立ち上がり私の手を引いてくれた。私も立ち上がると、佐野は自分が歩いて来た道を戻り始める。そこで私は、初めて首の後ろにある花札のようなタトゥーを見た。あのタトゥー、どっかで見たことがある。そんな事を思っていると、佐野は何かを思い出したかのようにこちらを振り返った。
「…俺の事覚えててくれてありがとう」
『…忘れたくても、忘れられないの』
「そっか、嬉しい」
佐野はそう言って笑うと、佐野が来た方向から髪がピンク色の男がやって来た。その男は佐野の姿を見ると「マイキー！」と言って近づく。佐野は「じゃあ、またね。俺と会ったことは誰にも言わないでね」と言って、その男と共に行ってしまった。私は「待って！」と彼らを止めるが、その足は止まることなく進んで行った。私は追いかけようと、足を動かすが、足の裏に強い刺激を感じて思わず立ち止まる。裏を見ると、裸足で走りすぎたせいか擦り傷が酷かった。そしてとうとう彼らが見えなくなった頃、私は唇をゴシゴシとシャツの袖で拭いて、横に倒れてる死体に手を合わせ、歩き始めた。
『…嘘つき、か』
確かにその通りだ。私は嘘つきだ。
さっきのキスだって、本当は＿＿＿＿＿。
私は、あの日から久しぶりに会った今でもずっと、佐野万次郎という男に溺れている。彼を心の底から愛しているのだ。
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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