抑えられなかったこの気持ち ページ29
Aside
『佐野、痛い』
「…その名を呼ぶなって言ったよな」
『今日の佐野おかしい。どうしたの？』
「…」
佐野は何も言わずにそのままキスをした。そのキスは段々と深くなり、私の息も荒くなる。佐野は、何かを必死に求めているかのような顔をしていた。舌を使って、必死に何かを探していた。とても辛そうな佐野の両頬に手を添え、舌を離した。銀色の糸がまだ私たちを繋いでいる中、額を合わせ、目を合わせる。
灰谷兄弟は、三途くんは薬中だと言った。けど、それはきっと三途くんだけじゃない。
『佐野、私はここにいるよ』
「…っ」
『…薬、探してるの？』
「…」
そう聞くと、佐野は少し歪んだ顔をした。きっと図星だろう。私は、このままだときっと彼を苦しめてしまうだろうと思い、そのままベッドに連れて行った。ギシッとスプリングの音が聞こえながら、彼を横にして布団を被せる。素直すぎて正直驚いた。本当に情緒不安定だ。
すると、佐野は私の手首を弱々しい力で握る。
「…お前も寝ろ」
『え？私はソファで寝るから』
「やだ。俺の隣で寝ろ」
『…分かった』
私は佐野の隣にスっと入る。すると、佐野はギュッと私を抱き枕のようにハグをしてきた。驚いた私は、佐野の顔を見るが、もう既に彼は夢の世界だった。私はそんな彼の額に一つキスを落とした。
『…ねぇ、何でそんなに堕ちてしまったの』
ぽそりと呟いたその言葉の答えを知ることは無かった。
・
朝、目を覚ましたらAがいた。未だに俺がガッチリとホールドしていて苦しいのか、眉間に皺を寄せていた。俺はそんなAを見てフッと笑う。今日の眠りは、この数年間で一番良かった。久しぶりに快眠と言えるだろう。
やっとAを離して上半身を起こすと、足元の方の布団の上でミーちゃんが丸まって寝ていた。
(……幸せだ)
不意にそう思ってしまった。そこまで思って、我に返る。ダメだ。もう何度も人を殺めた俺に、幸せになる資格なんてない。
すると、「ん、」と寝息を漏らしたAがモゾモゾと動いて目を覚ます。目が合うと、Aは俺の目の下に手を伸ばし、「隈、ちょっと薄くなったね」と言って微笑んだ。
その言葉を聞いて、まるでリミッターが外れたように、俺の口は動いていた。
「…好きだ」
『え？』
「俺、今でもずっとお前が好きだ」
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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