自慢の父親 ページ40
Aside
お父さんが入院してから数週間。夏休みが終わり九月になった。入院当初は、きっとすぐに体調は良くなるだろうと、そう思っていた。しかし、体調は良くなる所か段々と悪くなっていた。
私は毎日お父さんの元へお見舞いに行った。お父さんに毎日会うと欠かさずに言うのが、「俺も、母さんと同じ所に行きたい」という言葉だった。東卍の集会にも勿論行けるはずが無く、結局今も不参加のままが続いていた。そんなある日だった、マイキーから、バジリンが内輪揉めで集会を出禁になったと聞いたのは。私の精神はますます低下していくばかりだった。
「A、アンタちゃんと寝てる?」
『寝てるよ。元気元気』
「…今日さ、今からヒナと遊ぶんだけど一緒に遊ぼうよ。少しは気分転換に」
『…うん、そうしようかな。お父さんに連絡するね』
私は携帯からお父さんに電話を掛ける。何回かのコールの末、お父さんは電話に出てくれた。
『もしもし?お父さん?』
「Aか、どうしたんだ?」
『今日ね、友達と遊んでくるからお父さんの所に行けなさそうなの。それでも大丈夫?』
「…………あぁ。たまにはお友達と遊びなさい。いつもすまないな」
『ううん、私こそごめんね。ちゃんとお薬飲んで寝るんだよ』
そして電話を切ろうとする私を遮るかのように、お父さんは私の名前を呼んだ。私は少し耳から離していた携帯を再び近づけ、反応する。
「…A、いつもダメな父さんでごめんな」
『そんなことないよ。お父さんはどんな時も優しくて、笑顔が素敵で、私の自慢の父親だよ』
「嘘なんて付かなくていいんだ」
『…え?』
「全部知ってるんだ。Aが父さんの事をどう思っているか」
私はお父さんの言っている意味が分からなかった。何故なら、私が今さっき伝えたことが全てだからだ。私はお父さんに感謝の気持ちしかない。なのに、一体何の根拠があってそんな事を言うのだろう。
弁解しようと口を開くと、それと同時に携帯越しから病室の扉が開く音がした。時間を確認すると、薬接種の時間だったからきっとそれだろう。私は携帯を静かに切った。
「どうしたの?何かあったの?」
『ううん。けど、やっぱりお父さんの所行ってくるね』
「…そっか、分かった」
『誘ってくれてありがとう、エマ』
そして私は病院へと向かおうとするが、少しここからじゃ遠かったため、一度家に帰って今月やっと謹慎が解けたバイクに乗ってから病院に向かった。
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ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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