【佐野万次郎】幻の副総長

花火を見に行こう ページ16

Aside







『今日花火上がるんだって』

「へー」

『…今日、花火が上がるんだって』

「…何」

『見に！！行こうって言ってるの！！！』







「言葉にしなきゃ分かんねぇのか！！」なんて口喧嘩から始まる朝。ケンちゃんは私たちなんて見向きもせず静かにご飯を食べていた。


すると、いつもなら時間通りに学校に行ってるはずのエマが居間にやってきた。







「ウチも花火みたい」

『エマ、アンタ学校は？』

「寝坊しちゃった」

『珍しいね。たくあん食べる？』







私は副菜として盛り付けられていたたくあんを箸でつまみ、エマの口へと運ぶ。「あーん」と言いながら持っていくと、「あーん」と言い返してエマはたくあんを口にした。







『いつもの神社で見ようよ』

「集会あんのに？」

『終わった頃にエマと行くから』

「いや集会出ろよ」

「そもそも何で出ないわけ？」

『………内緒』







私はマイキーの問いに答えることなく、丁度いい温度になったお味噌汁を一気に飲み干した。器をテーブルに置いた後、私はケンちゃんの隣で丁度朝食を取り終えてたエマの方に顔を向ける。







『エマ、一緒に学校行こ』

「え、いいけど」

『じゃあまた後でね二人とも！遅刻すんなよ〜』

「もうしてるわ」







そう言うケンちゃんに「ナイスツッコミ」と親指を立てて、私とエマは先に家を出た。

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