あいってなんですか…？

6.いたい ページ7

cut!


「負けるなっ!!」

貴「!!!」

この声…

九太君…？

「負けるなっ!!!」

周りを探せば、負けるなと大きく叫ぶ九太の姿。

相手を挑発しといて、余裕ぶっといて、やられっぱなしの熊徹を、

わたし達は最早、応援なんて…かける言葉すら見つからなかった。

そんな中、たった一人。

負けるなって言う単純な言葉。

だけど、熊徹の顔を見れば薄ら嬉しそうに名前を呼ぶ。

否

呼ぼうとした。

だが、顔面に猪王山の刀の柄が思いきり減り込んだ。

貴「いっ…!!!」

百「あっ…!」

多「うぁ…!!!」



痛い。



実際に、自分が受けたわけじゃない。

でも、痛い。

何処が？

…何処だろう？

攻撃を受けた顔？

違う。

じゃあ、それまでに受けた別の処？

それも違う。



心




痛い。

でも、自分は受けてない。

何が痛いって…

心が痛い。

受けたように錯覚している自分。

だから、心も錯覚する。

痛い

痛い

痛い

今まで、受けてきた傷みより。

ずっと

ずっとずっと

痛い


貴「…いたい」

宙に放り出された、熊徹の体。


貴「やめてっ…!!」

わたしは、その場に泣き崩れた。

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