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坂田が適当に見繕った服装は、白のオフショルダー、黒いショートパンツと言う、如何にも志麻くんが脚に齧り付きそうな服装だった。
だが、恐らく、こんな細さじゃあそんな気も失せるだろう。
真っ白の脚や肩、腕に青や紫の痣、細い細い脚。
先程、俺が彼女の肩の傷を治しただけであり、こんな細い脚や腕、脚など見ても居なかったが、治すべきなのだろう。
「なぁ、A」
「どうかしました?」
二階の説明をしている中、俺の先を行く彼女の脚を止めて振り向かせる。
普通の人間だったら何とも思わない傷跡は、彼女が当たりだから治してあげたい等と思ってしまうのだろう。
「その傷とか痣治すから、さっきのゲストベッドルームに行こうや」
「え、わざわざいいですよ。こんなの直ぐどうにかなりますって」
「ええから行くで!」
俺が彼女の手を引っ張って、無理やり連れて行き、坂田はそれを押しながら進んで行く。
明らかに人間にしては酷い傷だらけの身体を「こんなの」と形容した彼女はそれだけ他の人間から酷い仕打ちを受けていたのだろう。
想像してしまうだけで殺意が沸々と込み上げて来る。
シンプルな来客用のベッドルームは綺麗に整頓されており、真っ白なベッドに座らせる。
大きなダボダボとした邪魔な袖を捲くって、右手の親指から三本を立てて中空を切るようにして札を浮かせる。
一枚一枚を傷のある箇所に飛ばして貼り付けると、彼女は困惑と驚きの混じった表情で俺の事を見つめてくる。
「Trick & heal」
一言だけそう呟けば、札は薄っすらと消えて行って、彼女の傷も綺麗に消え去って綺麗な細い肌に戻った。
まだ健康的とは言えないが、そこは彼女自身に食料を腹に入れてくれないとどうにもならない事なので善処するとしよう。
「え、凄い…!これ!一生消える事ないと思ってたのに凄いです!ありがとうございます!」
「え、さっき、直ぐ消えるって言わへんかった?」
「それは、あのまま両親と暮らしていたらそうなっていただろうなぁ、って事なので大したことじゃいですよ!」
ここで深く話を掘り下げるのは些か不躾なのではないかと思ってしまった俺は、彼女の甘さに相当毒されている。
「Aが話したないなら聞かへんけど、いつでも何でも俺らは聞くからな?うらたんもまーしぃも、ああ見えて、Aの事気になってるはずなんよなぁ…素直になればいいんですけどねぇ」
「何が素直になれだよクソ胸毛」
扉を背もたれにして立ちながら悪態を付いて来たのはうらたんで、それを聞いたまーしぃは吹き出したのだった。
大方、宴の準備が終わった頃だ。
第5章 Halloween Party Night→←×××
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ぴの(プロフ) - いやぁーー!!好きですぅぅぅ(泣)正体不明、天才歌い手シリーズの方も、いつも楽しく読ませていただいています!最新、無理しなくていいですが、密かに待ってます!! (2019年7月14日 15時) (レス) id: c64bb1fc21 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - とにかく最高すぎて好きです!!!!! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - うらたさんとセンラさんがかっこよすぎて過呼吸になりかけましたごちそうさまです!!!フワリと大きな袖で包まれるって…!!!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙もう呼吸止まった瞬間でしたよええ!!!最高すぎて評価10押したのに既に投票していますって出るんですよ!!!?! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - 口にする辺りあh((( 流石だなってなったし志麻さん何気に夢主ちゃんのこと、あの、怖がるだろ的なこと言っててア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ってなったしいやもうほんと好きすぎて好きすぎてヤバいです(語彙力低下)続き楽しみにしてますごちそうさまです (2019年1月25日 4時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ア゙ア゙ア゙好きですさかたんが走り回って夢主ちゃん探しに行ってそれ止めようとセンラさん追いかけてその後志麻さん怒ってうらたさんが思ったことハッキリ言う構図が…もう…あの、机に手をめっちゃバンバンするくらい悶えましたごちそうさまですそんでさかたん禁句を (2019年1月25日 4時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
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