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部屋に戻って数時間、書類を整理していたら
小腹が空いてきた。
今日は屋敷しもべも休暇中だろうか。
散歩がてら夕方部屋を出た。
幸いキッチンは地下牢からほど近い。
セブルスの部屋の前を通る度に心臓がドキリとする。
いるはずもないのにもう緊張してしまう。
彼とはどんな顔で会えばいいのか。
最後に見たのは、倒れる直前。
会話は無かった。
『やっぱりなー。』
キッチンには鍵がかけられていた。
食事のことは何も考えずに来たためどうしたものかと
ため息をついた。
動く階段を乗り継いでミネルバの部屋にも行ったがおらず、
必要の部屋もどうやら出てこない。
『すみません、私食事が必要です。』
いくら石壁に問いかけてもドアは現れない。
法則により食べ物は魔法で作り出すことはできないのだ。
こんなことで無駄にエネルギーを消費してしまい、
ますます腹が減ってきた。
もうどうにでもなれ、と中庭にたどり着いた彼女は
すっかり日の暮れた星空を見つめた。
ミセス・ノリスもフィルチと校内巡回中だろうか。
流石にフィルチに物乞いする気にはなれない。
夜風に当たり目を閉じた。
学生の頃を思い出す。
この学校で彼と出会った。
ここでの思い出がありすぎる。
やはりここが私の一番の居場所。
思い出をつまみに、心なしか口角が上がる。
学生の頃も教職に就いてからも
自分の隣で食事をするセブルスの姿が目に浮かんだ。
見上げてしまうほど背が高くて、
いつも甘いものばかり食べていると注意されて。
あぁ早くあのケーキがまた食べたい。
もはや腹が減りすぎて妄想が食事の方向へどんどん突き進む。
気のせいかいい香りもしてきた。
チキン？ビーフ？なんだか温かくて美味しそうな香り。
そろそろ自分の脳を疑ったので目を開けた。
しかしそれは妄想ではなく
目の前には紙袋を片手にセブルスが立っていた
いつものようにムスッとして
「我輩も暇では無いが」
『なんで、、、、』
「校長に呼ばれては仕方あるまい
飢えて死にそうな生き物がいると一報があってな」
彼女が駆け出した。
彼は咄嗟に食事の入った荷物を近くのベンチに置き、
彼女を抱きとめた。
『セブルスぅぅぅ』
互いに抱きしめる腕に力が入る。
『元気だった？』
「あぁ」
『セブルス』
「ん？」
『セブルス！呼びたかった！セブルス！』
「なんだそれは」
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作者名：maya.t | 作成日時：2021年5月17日 21時
