My Lord.7 (ページ39)

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そこでシリウスはやっと手を解放した。

リーマスが二人の間にある重苦しい空気をいち早く感知し
「僕いない方がいい？」と申し出たがAが却下した。

『むしろ居て』

「あーあ、やっと二人きりになれたってのに。
　皮肉なもんだな。」

「やっぱり僕いない方が、」

『居て』

沈黙したままも居心地が悪かったので
リーマスはとりあえずAとの再会を喜んだ。

「君とまた会えるなんて嬉しいよ。
　よくここまで来たね。」

そう言って彼女の目の前の椅子に腰を下ろした。

彼もAへの好意を寄せている身、
眩しいくらいの笑顔で嬉しさが顔全面に出ている。

まるで犬の尻尾がブンブン揺れているようだ。

彼の場合狼の尻尾になるのだろうか。

『ダンブルドアからのポートキーで飛ばされてね。
　きっと例のことで、説得要員。』

そして隣のシリウスの顔をチラリと見る。

「分かってるよ。
　何があっても絶対にこの家から出るな、だろ？」

不貞腐れたようにシリウスは答えた。

しかし内心リーマスは勘づいている。

杖よりも拳が先に出る男だ。

守るべきもの、ハリーが危機に晒されているとなれば
誰よりも早く飛んでいくだろう。

「いいかい僕からも言うけど、君は一人じゃない。
　ハリーにとっての唯一の家族なんだ。
　君が彼にそう言ったんだろう、責任を持つべきだ。」

一応念を押すものの
あの顔は多分聞く耳を持っていない。

『そうだよ、それを言いに来たの。
　これ以上あなたもハリーも苦しめたくないから言っ

「分かってるよ！」

少し強めにシリウスが返した。

「だが俺がここに留まるとして、他に誰が行くんだ。
　誰がハリーや子供達を守るって言うんだ。
　あの場に行ける人数は限られている。
　俺の代わりに死者が出たらどうする？」

俺は耐えられない、、と拳を机に打ちつけた。

そこでAはハッとした。

『じゃあ最初からあなたは』

「最終手段にお前を持ってこられても
　俺の意思は変わらない。
　守るべきものが目の前にあるなら俺は守る。
　じゃなきゃこんな所で告白なんてするか？」

そう笑うシリウスにリーマスは驚きの表情を見せた。

「いま、、」

「あぁ伝えたさ。俺の気持ちはな。
　勿論、あっけなく玉砕。
　あのスニベルスの野郎のどこが良いんだか。」

「シリウス君は、！」

リーマスは思った。

シリウスはそれだけの覚悟で、
彼の運命に臨もうとしている。