コアの底へ ページ10
ソウル移植機から作ったケツイ抽出機。操作はかなり難しくまだ試験運用だ。しかしそれを使い元ニンゲンのモンスターである彼らのケツイないしソウルなら、他のモンスターに移植してみる価値があると思えた。それは彼らの死を意味する。
「オイラは別にいい。だが、パピルスにオイラの塵を見せるわけにはいかないんだ。もしアンタがこれからこの実験に本腰を入れようと思うなら」
彼は白衣のポケットに入れていた左手をあげた。
空間からいくつもの骨と青い光を口に光らせる謎のドラゴン型の骨が現れた。
「オレと最悪な時間を過ごすことになるぜ?」
彼は攻撃パターンを隠していたのか。ゲームと称した実験では骨を一本緩やかに投げただけだったのだが。それにしても彼がこの様なものを持っているなんて。
「それが君の攻撃か。君は本当に興味深いね。そんな物騒なものどうやって用意したんだい?」
「お前さんの研究を知ってからオレはこういう時のためにこれを用意した。一発当てれば死ぬ最強の武器を。お前さんの攻撃は未知数だからな」
彼は額にうっすらと汗をかいていた。疲れを伴うのか。
「興味深い。実に興味深いよ。君ほどのケツイの持ち主ならばバリアの破壊を、あるいは」
彼の瞳が青く輝いた。それは初めて会った時の瞳そのもので。
私は骨の攻撃を避けた。
「私は君とこの様な時間を過ごす気は無いんだが」
「でもお前さんいずれオレたちを殺すんだろ?悪いがオレたちはアンタのおもちゃじゃない」
攻撃は激しさを増す。彼は本気だ。背後に青い光が灯る。それは大きな口を開き今にも私を飲み込まんばかりだ。
次の瞬間、彼は私に肉薄した。
「おもちゃだなんて。心外だな、そういうふうに思ってないよ」
「さあ、どうだかな。最低でも、アンタのその好奇心がある限りオレたちはアンタの都合のいいおもちゃじゃないか?」
「私は、君たちを__」
彼らが目覚め、過ごしてきた約一年。共にすごした記憶が走馬灯のように巡っていた。
彼らと穏やかな生活を送るうちに彼らが実験体であることを忘れることもあった。彼らが喜べば私も喜び、怪我すれば心配し__実験体だった彼らはいつしか私にとって紛れもなく大切な存在、家族となっていたのだ。
「さよなら」
彼がそう言った。言った気がした。
私はブラスターに飲まれコアの外へ吹き飛んだ。ソウルがなにかに制御されて動けなかった。私はそのままコアの底へと落ちた。
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anarogu_2gou(プロフ) - かなとさん» 指摘ありがとうございます!久しぶりに作ったので失念してました。助かります! (2019年9月27日 17時) (レス) id: 11a0abaae8 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意文をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月27日 16時) (レス) id: 706a605753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アナログ2号 | 作成日時:2019年9月27日 15時