リセット ページ19
「離して」
「いいや、私から離れなくていいんだよ。確かに怖いが君には聞きたい事があってね」
不安げな表情でフリスクが私を見上げる。
「君は今まで誰かを殺したりしたのかい?」
フリスクは首を横に振った。
「なら夢は夢だ。この世界は今君のケツイによって時間軸が乱れている。でも君が来る前からそれは起きている。なら、もしかしたら別の時間軸では本当にあったのかもしれないね」
「じゃあなんで」
「君は君だよフリスク君」
フリスクはしばらく無言のまま動かなかった。
私はフリスクの頭を撫でた。
「さあ、もう一度寝るといい。今度はいい夢が見れるんじゃないかな?」
「うん」
フリスクは徐に私に抱き着いた。思ったより冷たい体温に驚きつつも私は抱きしめ返した。
「おやすみ」
「おやすみなさい博士」
そう言ってフリスクは自分の部屋へ戻っていった。
次の日、フリスクは置き手紙を残し突然この研究所から出ていった。
突然姿を消した事に驚いたものの、フリスクなら上手くやって行けるだろうと思った。
サンズはフリスクの後を追いパピルスはサンズと一緒に着いて行った。
送り出してがらんとなった部屋。
(こんなに無機質な部屋だっただろうか?)
少し前と同じ状況に戻っただけだというのに虚しく感じる。
これでいいのだろう。
私は再び地上に戻るための研究に勤しむだけだ。
この後地底世界に『地上に出れる』というビッグニュースが飛び込んできたのだった。
「君は地上に行かないのかい?」
「うーん、コアが気がかりでね。そういう君はどうなんだい?」
「私はこの川が好きだからしばらくはいるつもりさ」
「お互い変わり者だなあ」
「トゥラララ!今更だね」
数少ない友人のリヴァーマンが笑う。私もひとしきり笑い、彼と別れを告げた。
コアの屋上にテレポート地底を見下ろした。ここに来る度に覚えのない記憶がチラつく。
きっとフリスクは同じ記憶を夢として見たのだろう。だからあんなに怯えていたのだろう。
「よお、アンタまだここにいたんだな」
「まあね。君は行かないのかい?」
「へへへ、そうだな」
背中越しに話しているため表情は分からないが相変わらず笑っているんだろう。
「どうせまたリセットされてここに戻るのがオチだからな」
「君もリセットとセーブについて何か感じていたのかい?」
「いや、そんな気がするだけだ」
幸せってのは長く続かないもんだぜ、と彼は言った。
その言葉通り、一週間もしない内に世界はリセットされた。
おわり
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anarogu_2gou(プロフ) - かなとさん» 指摘ありがとうございます!久しぶりに作ったので失念してました。助かります! (2019年9月27日 17時) (レス) id: 11a0abaae8 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意文をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月27日 16時) (レス) id: 706a605753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アナログ2号 | 作成日時:2019年9月27日 15時