狂気 ページ16
「オマエを必ず壊してやる、コ ワ シ テ ヤ ル ......」
確固たるケツイにより身体は溶けかけ、コートは鎧になり、背中には禍々しい翼が生えた。
ドクン、ドクン、ドクンと自分の中で自分のものでは無い力強い鼓動が聞こえてくる。
(これは一体)
『なあ、今だけアンタにオイラの力を貸すぜ』
(その声は)
『オレ様も!博士の助けになるよッ!』
頭の中に響くそれは愛しい息子たちの声だった。
(......すまないね、ありがとう)
私の身体に呼応する二つのソウル。
彼らの力が、他のモンスターたちの無念がこの身を埋め尽くす。
魔法弾を放つ。それを《君》は避け反撃する。
「面白いね!こういうのを待ってたよ！」
「そうかい、それはどうも」
『右から来るぜ』
右にブラスターを放つ。紫色の閃光が走る。
(やったか?)
『博士後ろ!』
咄嗟にテレポートする。一瞬遅れたら二度目のナイフが私を貫くところだった。
「惜しいなあ!」
「二度も同じ手には掛からないよ」
激しい攻防は続き次第に《君》に疲れが見え始めた。
私の放つ骨と魔弾をまともに受けた《君》は息も絶え絶えになっていた。
「はあ、はあ、はあ......」
「笑う余裕も無いかい」
「フフ、フフ、フハハハハハ!」
狂気に充ちた笑い声が嫌に響く。ボロボロの身体はお互い様だが、《君》は既に立ち上がることすら覚束無いようだった。
「何が可笑しい?」
「ハハハ、君も結局この世界を壊すのに二人で殺し合うなんて面白いな、ってさ」
「そうだね、でも私はオマエと違う。この世界に生まれこの世界を愛しているんだ。オマエは暇つぶしにこの世界に干渉するようだが、私はオマエからこの世界を守るために干渉を、破壊をする」
更に《君》は狂ったように笑った。
「いいよ、やってみるといいよ!とても楽しいと思うからね!」
「そうかい」
それが《君》の最後の言葉だった。
私はブラスターを最大火力で放った。宙を舞う恐ろしい力を持つ小さな身体は遠くへと吹き飛んだ。《君》の息は絶え、ソウルが弱々しくも強く輝いていた。
「これで最後だ」
ブラスターをかざす。これで《君》は死に世界も死ぬのだ。
『待てよ』
(何だね)
『それ以上は止めとけよ』
(何故だ?コレは世界を守るためだぞ?)
『そいつは確かにこの世界を壊すだろうが、そのガキンチョはな』
『オレ様やみんなの友だちだよッ!』
私の中で二つのソウルが必死に語りかけてくる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
anarogu_2gou(プロフ) - かなとさん» 指摘ありがとうございます！久しぶりに作ったので失念してました。助かります！ (2019年9月27日 17時) (
レス) id: 11a0abaae8 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意文をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月27日 16時) (レス) id: 706a605753 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アナログ2号 | 作成日時：2019年9月27日 15時
