緊急事態 ページ2
死んでいるだろうと思いつつ屈んで顔を覗き込む。顔に触れようとした瞬間、そばにあったニンゲンの手が私の袖を掴んだ。
「たす、けてくれ......!」
ニンゲンはそう言った。声は掠れて聞こえづらかったが、確かにそう言った。生きていた事に驚きつつも、言葉を発した彼の上に重なったもう一人をどかそうと試みた。
「おと、うとを、たすけて、くれ......!」
必死なその表情と青い目は、このもう一人の事が自分よりも大切なのだと訴えていた。
「大丈夫、今助ける」
その言葉を聞いて彼は安堵したのか意識を失った。
二人を抱えたままテレポートをした。研究室のベッドに二人をそれぞれ寝かせた。どちらも損傷が激しく、ボロきれの雑巾を連想させた。弱々しい二人の呼吸は、このままでは数時間もしないうちに亡くなるだろう事を予想させた。
私はすぐに彼らの服を脱がし培養槽に入れた。ニンゲンに対応した設備などろくに無い。とりあえず傷を治癒させなければ。しばらくこれで様子を見よう。そう思っていた。しかし、事態は深刻だった。
数時間後、『助けてくれ』と言っていた彼は息を引き取っていた。
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anarogu_2gou(プロフ) - かなとさん» 指摘ありがとうございます!久しぶりに作ったので失念してました。助かります! (2019年9月27日 17時) (レス) id: 11a0abaae8 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意文をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月27日 16時) (レス) id: 706a605753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アナログ2号 | 作成日時:2019年9月27日 15時