Pentagonと送る徒然草 第3夜

ドニのお姫様日和 ページ24

Ed「…ひとり」

声に出して辺りを見回すとそこには誰もいない、携帯だけを持って飛び出した俺はどこにいるかわからなかった
ひとりになりたかった、というよりは悪意を持った何かから逃れたくて無意識に誰もいない公園に来たのかもしれない
なのに咄嗟に携帯を掴んできた俺はそれでもこの事を知られたくなかったのかな

少し、ほんの少しだけ休んだら戻ろう
1人で作業してたから大丈夫すぐ戻れば皆には知られない、そう自分を納得させた俺はベンチで丸くなって額を膝に擦り付けた





どのくらいそうしてたのか、辺りは薄暗く気が付けば眠ってしまっていた俺は人の気配に飛び起きた
走ってくる人影に慌てて逃げようと立ち上がるとがしりと肩を掴まれてそのまま引き寄せられる

Ed「っや！離せ…！！」
『っドニ！…っは、はぁ…は…』
Ed「！？？」


暴れようと腕を動かした瞬間呼ばれた名前と自分を包む香りに力が抜けていくのがわかった

『…良かった、はぁ…っ、は、』
Ed「…A、ﾋｮﾝ」


常より熱い身体と耳元で切れる息、Aﾋｮﾝはいつになく強い力で暫く俺を抱き締め続けた







Ed「何で、ここに」
『…今日作業場、行くって言った』
Ed「…あ」
『…行ったら、居ないし…荷物はあるのに、帰ってこない、携帯も…出ないし』
Ed「…ご、めんなさい」
『…』

漸く離れたﾋｮﾝはベンチに座って脱力したように項垂れている
そう言えば何日か前にAﾋｮﾝが仕事終わりに顔を出すから作曲の続きをしようと言ってた気がする、きっと彼は帰ってこない俺を其処ら中駆け回って探してくれたんだろう

ﾋｮﾝとの大事な約束事すら忘れるほど…俺は追い詰められていたんだろうか



『…ごめん』
Ed「っえ、？な、何が…？」

ぽつりと呟く彼にびくりと肩が跳ねる、気付かれた？…いや、マネヒョンにも言ってないからいくら鋭い彼でも何も知らない筈

『何かは知らない、でも、何かあったのはわかる』
Ed「え、なんで？俺…散歩してて…つい寝ちゃっただけで」
『…そんな酷い顔して、よく言う』


すっと目元を拭われた俺はそこで漸く自分が泣いていたのだと悟る、ﾋｮﾝは拭った指をぺろりと舐めると悲しそうに俺の頬に手を滑らせた
無意識に手に頬を擦り付けた俺を見てﾋｮﾝは目を細めるとまた俺を抱き締める



『…独りで泣かせて、ごめん』
Ed「〜っっ、ひ、…！」



決壊したようにどこからかぼろぼろと流れ出したそれは哀しくて、でも独りじゃない愛(かな)しさも混じってた

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