【しゆん】Many Action【騎士A】 (ページ13)

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離れた体温が少し寂しくて、「あ…」なんて思ったのもつかの間。
トン、と両肩にしゆんの腕が乗る。
それから少し屈み、見惚れる程のしゆんの目が同じ高さに来た。
端正な顔で真っ直ぐ見つめられ、思わず息を飲む。

「っ、しゆ」

「ばかじゃねぇの」

「なっ…！」

ばかとはなんだ！そう反論しようと口をひらくが、
呆気なく優しいぬくもりで塞がれた。

──苦いタバコの匂いが鼻をかすめる。

ちゅ、なんてわざとらしく音を立てて離れるが、それでもまだ鼻が触れ合う程の距離にいるしゆんに、キスも相まって心臓がとび出てしまいそう。

「ふはwwマヌケ顔」

「〜っ！ずるい…！」

「ずるくねぇだろ。なんならAの方がずりぃ」

「どこが」

「俺は多分、一生Aから離れらんない気がする」

そう微笑みながら、そして半ば呆れたように笑う。

こんな飄々と漂うしゆんから、こんな言葉が出るなんて思いもしなかった。

───でも聞き捨てならない。

少しだけモヤっとしたわたしは、しゆんの両頬をペチと弱々しく挟んだ。
意表をつかれたしゆんは、驚いたように目を見開く。

「気がする、じゃなくて…離さないでよ」

そしてそのまま、しゆんの顔を引き寄せ唇を合わせた。

しゆんに比べればぎこちないかもしれないキスは、恥ずかしさもあって、触れてからすぐに離した。

「……離れんな」

そう呟くように言葉をこぼしたしゆんは、後頭部から優しく包み込み、そしていつの間にか腰に回した手で体をグッと引き寄せた。

少し荒々しく、でも優しく、
離れるのが惜しいという程に何度もキスを繰り返した。

───ねぇしゆん。それは、どっち？

溺れるようなキスの合間。

離さないように、離れられないように。
抱きとめるしゆんの腕に縋る。

わたしの死ぬ理由には、最後はあなたがいて欲しいから。

だからお願い。その時まで、どうか離さないでね。