深愛モラトリアム【2】 (ページ31)

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視界に映る二人分の靴の先
再び張り詰めた沈黙が流れたけれど
それを打ち破ってくれたのは
真横から聞こえた手を叩く音だった

岸「紫耀！よく言った！
　マジで格好良いよ！！」

頭を上げ見えたのは
岸さんが笑顔で紫耀に向け拍手を贈る姿

岸「二人こそが本当にお似合いだよ」

　『……岸さん』

紫「…岸くん」

パチパチと大きな会場に響く
岸さんの拍手につられたのか
司会者も手を叩き始めると
それは連鎖するように客席にも広がり
また盛大な拍手へと変わったんだ

私たち二人に向け
お客さんが笑顔で拍手を贈ってくれる光景に
感動して胸が熱くなった

　『紫耀…すごいね』

紫「うん、俺たちのファンは最高だから」

　『本当だね』

紫「俺たちを受け入れてくれた
　ファンの人たちの前で約束するよ」

　『……え？』

紫「おじいちゃん、おばあちゃんになるまで
　 Aを変わらずに愛します」
　

　『………紫耀』

紫耀は「おいで」と、
両手を広げて笑顔で私を呼ぶ

あなたの居ない長い年月も
あなたの心変わりを受け入れられない日々も
私はいつも心に不安を抱えていたけれど

今はもう違う…

ただ紫耀が居るだけで幸せで
紫耀が笑っていてくれるだけで
何の不安も怖さも無いんだよ

彼の胸へと飛び込むと
私たちはたくさんの人たちに見守られる中
お互いの愛を確かめるように抱きしめ合った

もう私たちは二度と離れたりしないよ

ずっと二人だけで生きていた
その小さな世界から飛び出したとしても

いつまでも深過ぎる愛を捧げ合う
私たちの幸せな場所を築いて行こう

たった一人の深愛なるあなたと共に＿＿

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【深愛なるあなたへ】おわり