◇ ページ19
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『良いの？』
紫「どうぞ」
紫耀の肩に手を乗せ
自分の視線を上げる為に背伸びをして
彼の左耳辺りの髪を
空いた手で触れようとした
だけど、目の前にあった
髪がサラリと揺れ
彼の顔が正面に戻ったと思ったら
紫耀は私を抱きしめながらキスをしたんだ
触れているだけの少し長いキス
唇が離れると紫耀の嬉しそうな顔が見えた
『………騙したな』
紫「今日はずっと恥ずかしいって
Aが下を向いてるから
キスが出来なかったんだよね」
『だって…』
紫「じゃあ、もうキスはしない方が良い？」
紫耀はもう一度、唇同士を近づけて
話をしながら微かに唇を触れさせる
…ずるい…これはきっと
私にこう言わせたいんだ
『……ダメ…もっとしたい』
ずるいとは思いながらも
紫耀の甘い罠に自ら堕ちてしまいたくなる
今度は肩ではなく彼の首に手を回して
初めて私から紫耀にキスをした
すると彼は抱き寄せる力を強くしながら
キスを深めて行くから
触れ合っている唇だけじゃなく
体や頭の中までも溶けてしまいそうになる
紫「…ここが俺の部屋なのは分かってる？
もう…我慢出来なくなりそうなんだけど」
さっきは笑顔を見せて
私を甘い罠に堕としたくせに
今度は余裕なんて無さそうな
彼の瞳を見ていると
紫耀が言っていた
めちゃくちゃに愛したくなるの意味が
私にも分かった気がした
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年7月4日 22時
