深愛モラトリアム【2】 (ページ18)

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after story【約束】ページ18

Aside

水の流れる音と
食器がぶつかり合う音
いつも聞いている音だとしても
彼が作り上げるものならば
そんなことにさえも幸せを感じる

シンクで食器を洗う紫耀の背中

今すぐ触れてしまいたくて
邪魔だとは分かっていても
手を伸ばして彼の背中に抱きついた

紫「A？濡れちゃうよ？」

　『うん…良いの…』

紫「どうしたの？」

　『好きすぎて…おかしくなりそう…』

二人でお墓参りをしてから
仕事でなかなか会えなくて
その間も紫耀を想う気持ちは日に日に増した

紫「そんな可愛いことを言ってくれるなら
　顔を見て言って欲しいな」

　『……無理だよ』

紫「どうして？」

　『だって紫耀、急に髪型も色も変えて
　格好良過ぎて…見られないんだよ』

久しぶりに会えた紫耀は
長かった髪を切り
色もハイトーンのカラーに変わって
見た瞬間は格好良過ぎて言葉を失った

紫「ふふ、嬉しいけど見慣れてよ」

　『……頑張る』

背中から響く彼の声と
手を伸ばせば届く温もりに
離れ離れだった時間が埋められてゆく

　『綺麗な色だね、紫？ピンクかな？』

見上げれば直ぐに見える
紫耀の淡い色味を感じる髪

でも彼の部屋は間接照明で薄暗く
はっきりとした色が分からなかった

紫「近くで見ても良いよ」

紫耀は体を反転させ私と向かい合うと
顔だけを横に向けて
髪が見えるようにしてくれた

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