検索窓
今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:65,888 hit

07 ページ7

.









神「俺はね、彼女が来るのを待ってるの」





私がミルクティーを一口飲むと
彼は先程の続きを話してくれた





 『待ち合わせなんですね』


神「待ち合わせはしてないの
  だけど、ずっと待ってるんだ」


 『…ずっと?』


神「長い間、待ってる気がする
  でも彼女はなかなか来てくれなくて」


 『…そうなんですか』






悲しい話をさせてしまったみたいで
罪悪感が生まれて来た





 『早く来るといいですね』


神「そうだね」





視線を落とした神宮寺さんの姿が
あまりにも寂しそうに見えて



違う話をしようと
他にどんな小説が好きとか
どんな音楽を聴いているのかとか
その後はそんな細やかな話をしていた






神「また会いに来ても良い?」


 『…私で良ければ』


神「ありがとう、また来るね」






帰り際に小さな約束のようなものを残して
神宮寺さんは嬉しそうに帰って行った






背後にレトロなドアベルが聞こえたら
彼と入れ違いだったのか
玄樹くんが店に帰って来たんだ





玄「今日は遅くまで居たんだね」


 『え?』





気がつけば窓の外はもう陽が落ちていた


 
玄樹くんに言われて初めて
随分と神宮寺さんと
お話をしていたんだということが分かった





玄「誰かいたの?」





向かいの席に置いたコーヒーを見て
玄樹くんが問いかける





 『知らない人に
  話し相手になってもらったの』
 

玄「そうなんだ
  ねぇ、もう暗いから車で送るよ」


 『ありがとう、玄樹くん』






この日はお言葉に甘えて
玄樹くんに車で送って貰った





いつもの変わらない私の日常に
神宮寺さんの笑顔が
少し変化を起こした日だった









.



 

08→←06



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (203 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

莉衣子(プロフ) - きゅんさん» 初めまして。是非他のも読んでやってください!ありがとうございます。 (2021年1月10日 9時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
きゅん(プロフ) - はじめまして。読んでいくうちにどんどん引き込まれていって、最後には涙が溢れて止まりませんでした。莉衣子さんの作品他のもぜひ読ませていただきます! (2021年1月10日 1時) (レス) id: 530e3ffe95 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - Nさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2020年6月26日 13時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - すごい泣きました。素晴らしい作品、ありがとうございました。 (2020年6月26日 12時) (レス) id: 909ed19fee (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - pipi_kpさん» コメントありがとうございます。読んで下さって嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:莉衣子 | 作成日時:2020年6月20日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。