君は聞いてどう思う28 ページ30
『影山くん?皆、そうなんだよ?この話聞いたら固まって動かなくなってしまったの。もしかして、私が倒れちゃうとか思ってるのかな?』
Aさんは俺の顔を下から覗く。クリクリしたその目はさっきまで愛しく思えていたのに、一気に恐怖に変わる。グルグル回る赤く濁った目に見つめられると、そのまま頭がおかしくなりそうで怖くなる。
俺はAさんから目を逸らすと、代わりに頭を撫でる。Aさんのフワフワした髪が指に絡みつく。撫でる度にフワリと甘い香りが漂う。Aさんは頭の上にはてなマークを浮かばせながら、俺に目を合わせようとする。
『私は負けないのに、、、小さな巨人さんの為ならきっと、、、』
影「、、、Aさん」
『影山くん。なんでさっきから目を合わせてくれないの?』
その言葉に目が勝手にAさんの方に向く。とても低くて苦しそうな声で呪文のように聞こえる言葉を言われると、嫌でも体が言うことを聞かない。
Aさんの目は俺の想像していたものとは違った色をしていた。青色だ。とても澄んだ青色。違う意味で吸い込まれそうになった。しかし、目に光はなくて明るく暗い目の色をしている。Aさんは頭を撫でている手を振り払うと、悲痛な顔をして俺にこう言う。
『影山飛雄。君は聞いてどう思う。』
影「、、、っ!」
『君はこの話を聞いて何を思う?可哀想?悲しい?』
影「それは、、、」
『それは他人事だ。可哀想や悲しいや辛かったねじゃ駄目だ。そういう経験をしなきゃ同情なんて一生できない。』
影「じゃあそれ以外に何を思えば、、、」
『否定があるなら言え。私が違うと言うのだろう?ならそれを言えよ。』
影「、、、、」
『、、、言えないんだよね』
Aさんはベンチから立ち上がると、鞄を持ってその場から去っていく。
『じゃあおやすみなさい。影山くん。』
影「おやすみなさい、、、」
ごめんなさい。アンタの事ならなんだって出来ると思ったんだ。
だけど「待って」とか「違う」なんて言えない。言える勇気がない。言える権利もない。
ごめんなさい。Aさん。アンタに、、、少しだけ、、、少しだけ、、、
引け目を感じたんだ。
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卯月葵(プロフ) - 失敗作少女(ボカロ)みたい(過去2) (2019年2月19日 22時) (レス) id: 3411144c18 (このIDを非表示/違反報告)
安い料理屋(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます!更新、頑張ります!! (2019年1月29日 17時) (レス) id: 45056beaa1 (このIDを非表示/違反報告)
安い料理屋(プロフ) - 卯月葵さん» コメントありがとうございます(*^^*)続編、出しましたので、宜しくお願いします!! (2019年1月29日 17時) (レス) id: 45056beaa1 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 続編も頑張ってくださいね! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 16d6600561 (このIDを非表示/違反報告)
卯月葵(プロフ) - 続編が楽しみです! (2019年1月6日 23時) (レス) id: 3411144c18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:安い料理屋 | 作成日時:2018年9月12日 5時