番外編:コタツ ページ6
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「…寒い…」
寒い。
そう考えることしかできなかった。
だって、今11月だもん!
寒いに決まってるでしょ!?
こんな時に限って家に誰も居ないし!
寂しいよ〜悲しいよ〜
「なんでこんな日に…睦実の俺ラジオ?が長いのお…いつもなら、早く帰ってくるのに…1時間ちょいで帰ってくるのに…今日は2時間も…うう…」
もうパソコンをいじる余裕も無いよ…締切、明日までだけど…
コタツの上に乗ってる閉ざされたパソコンを見ながら、私は頭を机に乗せた。
意外と痛い…ほっぺむにーってなってる…
私は、
痛いの嫌。
「…いつもなら、剥いてくれるのになー…」
今思うと、睦実兄は私に甘いんじゃないかと思い始めた。
コタツに入っていると、必ずと言っていいほど蜜柑を剥いてくれるし、その間自分は食べてない。全部くれる。
それに、欲しいものはお金を出せば買ってきてくれるし、たまに帽子も貸してくれる。たまに。
…甘いなあ…凄く、甘い。
…甘くしたのは、自分のせいなんだけど。
…決めた!
今度は、睦実兄に蜜柑を剥いてあげよう!
そして、私の今着てるパーカーも貸す…というのは恥ずかしいから、フード着きの上着を貸してあげよう!
うんうん、名案過ぎるよね!
…なーんて、意気込んだはいいものの。
私、蜜柑剥けないんだよね…花の形に…
…だったら、他の剥き方にすればいいじゃない!
例えばほら、グルグル1本線剥きとか!
クルルみたいでよくない!?
こんな風に!
よっしゃ〜!やってみるぞ〜!
…なーんて、意気込んだはいいものの(2回目)
意外と難しい…難しいよ…
そんなことを思っていると、睦実兄が帰ってきた。
「ただいまー。遅くなってごめんね」
「睦実兄!お帰りなさい!」
私は、蜜柑に向けていた顔を、睦実兄に向けた。
私が蜜柑を剥いているのに気づいた睦実兄は、コタツの中に入り込んだ。
実は、失敗作が2個あったり…あはは…
「…これは?」
「いつも睦実兄に蜜柑を剥いてもらってたから、お返し!私も、睦実兄のために、蜜柑を剥いてあげるの!それでね、その2個は剥く途中ちぎれちゃったやつ!食べていいよ〜」
「ふ〜ん…じゃあ、お言葉に甘えて」
そう言いながら、蜜柑を食べる睦実兄は、なんだか楽しそうに見えた。
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写真は、私が剥いたものです〜
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