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「…えっと、その…僕、鈍感だし、神田さんとはあんまり話したことがないけど…」
優しい声で、日向くんは、呟きました。
「でも、神田さんの事は、かけがえのない存在で…登校して来ない日は、落ち込んで。次の日に登校して、西澤さんと話しているところを見ると、今日は来たんだなって、嬉しくて…安心もして。敬語を無くして素が出た神田さんも、可愛いなって、思ったんだ。
…だから…」
「神田さんの事が好きです。お付き合い、させてください」
少し、照れくさそうな顔をしながら、私を見る日向くん。
…えっと、これって、つまり…
「ええええっと、本当?日向くんも?あ、あれ…?私、幻聴と幻覚が…それとも、これは夢…?」
「あははっ。違うよ、神田さん。夢じゃないよ」
「ゆ、夢じゃない?ほんと」
う?と言い切る前に、花を吐いてしまった。
吐いた花は…白銀の百合。
花吐き病が治った、証だった。
日向くんは、それを…キラキラした目で、見つめていた。
「わあ…凄いよ、神田さん!こんなに綺麗な百合、初めて見た!」
「な、なんか…照れくさいね、日向くん…」
私は、その百合を袋に入れて、持ち帰ることにした。
枯れるまで、お世話してあげたいなあ…
あ、もちろん、触れてないよ!
そうだ、と思い、日向くんに話しかけた。
「冬樹くん…えへへ、名前で、呼んでみたかったんだよね」
「えっあ…じゃあ、僕も!神田優華だから…優華さん?」
「う〜ん…まあ、今は、それでいいか」
冬樹くんは、何もわかってなさそうな顔でこちらを見た。
だって、私の名前、教えてないもんね〜
花吐き病。
それは、片想いをこじらせた者にかかる病気。
両想いになる以外、治る方法は一つしか見つかっていない。
治ると、白銀の百合を吐き出す。
〜番外編 終わり〜
おまけ
「西澤さん!おかげで上手くいったよ!ありがとう…!」
「おめでとうございます!早速、パーティーの用意をしなければいけませんね」
笑顔。本当に祝福してる顔。
でも、謝らずにはいられなかった。
「…西澤さん、ごめんね。私が、病気になんてならなければ…」
「いえ、大丈夫です!私、諦めてませんから!」
…これは、宣戦布告かな?
私は、その言葉に、
「あ、奪うつもりなのかあ…負けられないよ!」
と、自信に満ちた声で返した。
ちなみに、敬語を取っても、なんとも言われなかったよ!
西澤さん、凄い子だなあ…
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