日向冬樹 ページ15
,
花吐き病…という奇病を
診断によると、あと2週間程で…亡くなってしまうようです。
正直に言うと、嫌でたまりません。
やり残したことが、沢山、ありますから…
でも、告白もできません。
何故なら、私が恋をした相手が…
日向冬樹…
…西澤さんが、好いている人だからです。
最初は…否定してました。
私は、西澤さんの恋路を、邪魔しない。
これは、その感情であって、恋ではない…と。
ただ、西澤さんの恋が、初々しいから、キュンとしてるだけだと。
…でも、気づいてしまいました。
私は…日向くんが、好きなんだと。
一緒に居る時に、気づいてしまったんです。
日向くんと一緒に居る時だけ、花が出て、胸が痛くなる…
これは、恋しかないと、サブロー先輩に言われました。
告白してみたら？とも言われましたが、撃沈するのは目に見えてます。
日向くんも、西澤さんが好きなはずですから。
そんな事を考えてるとは知らない日向くん達は、私と一緒に帰ろう、と、誘ってくれました。
許しませんよ、西澤さん…
「ところで、今日はどうしたんですか？西澤さんも日向くんも…珍しいですね」
「…少し、お聞きしたいことが、ありまして…」
「あら、なんでしょう？」
私は、少し笑っていました。
2人が、深刻そうな顔をしているのも知らずに。
日向くんが、ゆっくりと、口を開きました。
「神田さん。正直に答えてね」
少し圧力がかかった日向くんの顔は、私の胸を高鳴らせるのには十分な顔でした。
折角、押さえつけてたのに、その顔一つで緩んでしまう…そんな私が、少し、許せなくなりました。
私は、怯えている表情を浮かべながら、
「は、はい…」
と、応えました。
日向くんは、そのまま、言葉を続けました。
「最近、神田さんの周りから、花の匂いがして…調子も悪そうだったから、西澤さんと協力して、後をつけてもらったら…神田さんが、花を吐いているところを見たって言ってて…
神田さん、もしかして…花吐き病なの？」
「…え」
なんで、なんで、バレたんですか！？
後ろには誰もいませんでした。気配すら、ありませんでした。
…なんで…
っ！まさか…
「…超アンチバリア…ですか…？」
「そうです。クルルさんに協力してもらいました」
「…そう、でしたか…なら、仕方ありませんね」
私は、勇気を出して、言いました。
「そうです。私は…2週間後に、花吐き病によって…亡くなります」
2人の顔は…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
