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しばらく歩いていると、前から誰かが走ってきました。
よくよく見てみると…暗闇の中で分かりにくいですが、間違いなく、サブロー先輩…いや、サブロー兄がいた。
まだ変装解いてないけど、まあいっか!
手を振ると、難しい顔をしてたサブロー兄も、なんだか落ち着いた顔になった。
そして…
額に、デコピンされた。
「いだい!」
「こんな遅い時間に帰ってくるなんて…聞いてないよ」
「え、冬樹くんの家に居るって伝えといたけど…」
クルルとサブロー兄、両方の携帯にメールしといたはずだ。
何度も確認したし、間違いないはずだけど…
「帰る時間がわからないと、迎えに行けないでしょ。暗い時に一人でいると、狙われやすい…って、知ってるよね?」
「ヴっ…ごめんなさい…」
「ま、今回は、許すとするか」
クルルが呼んでたよ、そう言いながら、隣を歩いていた。
クルル…本当に、カレー、作ってくれたのかなあ?
わかんないけど…
そんな心情を察したのか、サブロー兄が話しかけてきた。
「なんか、プレゼントする物があるって聞いたけど…何したの?」
「え、私、なんにもしてないよ?強いて言うなら…カレー作ってくれるって聞いたくらいで…」
「…クルルは、約束は守る奴だから、きっとそれだね。カレーの匂いもしたし、今日の夕飯かな」
…本当に、作ってくれたんだ。
そう、暖かな気持ちになった後、今までの事を思い出し、少し冷えてしまった。
睡眠薬、謎の手紙、待ち伏せ…
そこまで思い出して、身震いした。
クルルは、そんなことしない。
宇宙人だもの。する訳ない。
私は、人は信じられないけど、外の星…私なんかちっぽけな存在だと思っている宇宙人なら、信じることが出来るかもしれない。
私は、その考えを持ったから、信じようと思ったから、クルルを歓迎したんだよ。
…やっと、希望を持てたんだ。捨てちゃいけない。自分から捨てる事もしちゃいけない。
私は、私なんだ。
そう思いながら、両頬をペチンと叩いた。
駄目だ駄目だ。ネガティブ思考は病気の元。しっかりしろ!北城A!
…ネットで使ってる名前は、
私は、1人ツッコミをした。
あっ、あのこと、伝えといた方がいいかな。
そう思い、サブロー兄に相談した。
「そういえば、クルルのお仲間さんが居たけど…伝えなくて大丈夫?」
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