。+°11memories°+。ver.番外編5 (ページ3)

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雪と君への届かぬ思い

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椿side

「おはよう。椿」

彼が、真命が笑顔でそう言う。

『………おはぁよ～ふぁぁまだ眠い。』

私もそう返事を返す。真命とは小さい頃から一緒に居る。

所謂幼馴染というやつである。

そんな感じで中学2年生になった今でも一緒に学校に登校している、というわけだ。

話は変わるが、辺りは一面銀世界。

昨日はかなり雪が降ったらしい。

いつもの私なら、普段と違うこの状況にテンションマックスだっただろうが、今日は違う。

主に理由は二つある。

一つはすごく寒いこと。私は寒いのが大嫌いだ。

もう一つは、私は低血圧であることから、朝はすごく弱い。普段は夏でも着物であることから、暑さには強いのだが、その反面寒さにはとてつもなく弱い。

「椿、大丈夫か？もうちょっと着た方がいいんじゃ……また風邪引くかもしれないし……」

そう言う真命に私が思ったこと、

真命……お前は母親かっ！？何この子！？え？さりげなく自分の上着着せようとするのやめて！？君が風邪引くから！？

『だ、大丈夫だから！！』

そう言って押しのける。というか、真命の方が厚着した方がいいんじゃ！？私、手袋、マフラー、耳あて、帽子と完全防寒なんだけど！？

思わず、はぁ、と溜息をつく。

『真命の方が寒いでしょ？はい。これつけて。』

と手袋を片方渡す。

そして、手袋をつけていない方の手を真命の手に絡める。すると、真命の手の冷たさが伝わってくる。

真命は、すごく驚いた顔をした後、

「これじゃあ、椿が寒いだろう？」

と、この後に及んでまた人の心配をする。

私は幾度かの溜息ををつき、

『真命が寒いと、私も寒いから。』

私がそう言うと、真命は少し悲しそうな顔をして、ボソリと小さい声で何かを呟いた。

『ん？何か言った？』

すると、いつもの笑顔に戻り、

「いや…何でも無い。早く行かないと、学校遅れるぞ。ほら、行くぞ？」

そう言って繋いだ手に力をこめる。

これは、とても寒い、冬の日の出来事。