片思い２ (ページ24)

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　【side-◇-】

「ん……」

ゆっくりと覚醒していく意識。
いつの間に眠っていたのか、休憩のつもりで座っただけだったはず……。
ぼんやりする頭を預けている先が、妙に温かいことに違和感を覚えて体を起こした。
すぐ目の前の視界に飛び込んできたのは、誰かの肩で……

「……え？」

上げた視線の先。

「………！」

あまりに驚いたせいか声すら出なかった。
嘘……なんでいるの？
眠っているゆづくんが、そんな疑問に応えてくれるはずもない。
そっと離した体。まだ頬に残る温もりが切なくて痛い。
そういえば前にもこんなことがあった。
休憩室で寝ていて、目を覚ますとゆづくんの笑顔があって……。
どうして…、なんでこんなふうに心をかき乱すことするの……。
混乱する気持ちで見つめたゆづくんの目がゆっくりと開かれて、びくりと体が震える。

「ん～、あ…起きてた？ごめん。なんか、俺まで寝ちゃって……」

「……びっくりした、気付いたら隣で寝てるから」

「ん、よく寝てたし起こすのも可哀想かなーと思って」
　
寝起きでぼんやりしたゆづくんの目が私を捕らえて、どきっとするような雰囲気に胸が騒ぎ出す。

「起こしてくれてよかったのに。休憩のつもりだったから」

「でも、疲れた顔してたけど？ ……いつから滑ってたの？」

「え…、１時間くらい前かな」

家に一人でいると色々考えてしまって、結局落ち着かないし眠れない。
だから身体はしんどくても滑っていた方が気分的に楽だったから。

「A、ちゃんと休まなきゃダメだよ。昨日だって残ってやってたでしょ？」

心配げに細められた目。
その真っ直ぐな大人びた気遣いが、今の私には痛くて素直に受け入れられない。
脳裏にちらつくのは彼女の後姿。
ゆづくんの特別を受け取ることが出来る彼女を、心の奥で羨んでる。
そんな自分が嫌でしかたがないから。
向けられる優しさに、僅かに残ったプライドで意地を張るしかない。

「平気だよ……」

立ち上がりながら笑って見せたけど、笑わないゆづくんの目が怖くて目を逸らした。
それはごまかしの利かない真剣な目だった。

「じゃ……練習してこようかな……」

そう言って背を向けようとしたとき、いきなり腕を掴まれた。
驚いて振り返ると、ゆっくりと立ち上がるゆづくんの視線に捕まる。

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