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そこでふと思い出す。このクソガキと初めて会ったときのことを。

「…だから最初、銀八って言ったのか」
「そ。ソーユーコト」




はぁ、と溜息を吐くガキんちょ。
頭がこんがらがってきたもんで、天然パーマのくるんくるんな銀の髪を軽く掻いた。



「…んで、お前はこれからどうするつもりなの?銀さんエスエフなんて読まねぇしそういうの疎いンだよ」


「…まだ、終わりじゃねェんだよ、話は」
「……まだあんのかよ」





爛々と光る月。
月光を帯びたその女は、どこか達観したような目で月を見上げた。

何を思っているのか。
どんな世界から来たのか。


俺にわかることはひとつもなかったし、きっとこれからもないのだろう。コイツはコイツで何かを抱えて生きている。
それはきっと、誰とも共有なんざできないものなのだ。





「……ンな顔してんじゃねーっつーの」



餓鬼は餓鬼らしくしてろ。なんて。

俺が言うことではないのはわかりきったことだった。





「ーー・・姉さんがいるんだ。私には」


「ふーん」



「私は幼い頃、母さんと父さんを交通事故で亡くした。だからね、六つ上の姉さんが親代わりだった。姉さんが私を育ててくれたんだ。だけど、さ」




紡がれる言葉。

物悲しそうに月を乞う横顔を、静かに眺めていた。



その女の、幸せだったはずの過去。



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ティアー(プロフ) - *天 神*さん» 閲覧ありがとうございます!更新スピードは遅いですが頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2018年9月2日 20時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
*天 神*(プロフ) - 初コメ失礼します。面白いです!文才がすごすぎです。更新楽しみにしてます、頑張ってください。 (2018年9月1日 0時) (レス) id: 537ce569f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ティアー | 作成日時:2018年8月29日 12時

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