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「……ちったァ落ち着いたか、クソガキ」
「………うん」
銀さんの胸の中で、彼の寝巻きをくしゃりと握り締め、鼻をかんだ。
ずびっ、…なんて音がする。
「…テメエ人のパジャマで鼻かんでんじゃねえシバくぞ」
「はは、銀さん面白い」
「何も面白くないんだけど。汚ねぇなテメェ、女だろうが。っつーか人間だろうが。普通の人間は人様の寝巻きで鼻かむなんてことしないよ!?」
取り敢えず聞き流して銀さんの胸から離れる。彼はどうやら子供体温らしくて、額に触れた熱がまだ余韻を残した。
「……銀さん、あのね、話、あんの」
「あァ、知ってらァ。待ってたぜ」
不敵に笑う、
銀色のお天道様引っさげたヒーロー。
思わず見蕩れてしまう。
「ね、私の事、信じてくれる?」
「あァ、そんな目ェした奴が嘘なんて吐かねーよ」
「そ。私今、どんな顔してんの」
「ひっでェ面してるよ。女のする顔じゃねえ。目は真っ赤に充血してるし、鼻から鼻水垂れてっし」
「…ひっど。それは女の子にかける言葉じゃねえよ銀さん」
なんて。
彼はどの世界にいても、変わらないんだなぁ、なんて感慨に耽ってしまう。
銀さんは、本当に優しい目で私を見下ろした。
その小豆色の中に、本当に酷い顔をした私が映り込んでいて、思わず吹き出してしまう。
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ティアー(プロフ) - *天 神*さん» 閲覧ありがとうございます!更新スピードは遅いですが頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2018年9月2日 20時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
*天 神*(プロフ) - 初コメ失礼します。面白いです!文才がすごすぎです。更新楽しみにしてます、頑張ってください。 (2018年9月1日 0時) (レス) id: 537ce569f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ティアー | 作成日時:2018年8月29日 12時