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「ねえゆき」
「なあに？」
ゆきに頼まれた、じゃがいもの皮むきをしながら、ぽつりと零した。
隣からリズムのいい包丁の音がする。
ああ、何年ぶりだろう。
こんなに心地いい音を聴くのは。
後ろでカーテンを透過する夕焼けに目を細めて笑みを零した。なんて幸せなんだろう。
幸せを噛み締めるのは、いつかこれがなくなってしまうのを知っているからで。
これが幸せだと思うのは、きっとあの地獄があったからだ。
幸せの代価の、大きな犠牲。
何故か少し、背徳感すら覚えてしまう。
「……ありがとう、大好き」
「ふふ、なに、どうしたの？
私も好きよ、A。
生きててくれてありがとう」
生きててくれて
ありがとう
そんな言葉を聞いても胸が苦しくならないくらいに、私が自分のことを好きだったらいいのに。
私には生きる価値がない
まだその馬鹿な考えは、
私の心の奥に根っこを生やしたままだ。
辛い記憶の奥に、懐かしささえ覚えてしまうのは、その地獄が、私の居場所なのだと自覚してしまっているからだ。
こんな優しくて暖かい場所で燻ってたら、
いつかきっと私は壊れてしまう。
周りの全てが幸せな中で、私たったひとりが、
あの忌まわしい記憶を引き摺って生きてゆく。
抱えるには重い十字架だった。
……私は、幸せになってもいいの？
幸せを噛み締める中で、
そんな疑問が頭をすり抜けていく。
みんなが私を嫌いになればいいと、そう考える私は、やっぱり狡いかな。
……自分から助けを求めたくせに。
「……ねえ、ゆき
私、幸せになってもいいの？」
私に、幸せになる権利なんて、
本当にあるのだろうか。
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ラムネ - 泣けるし、面白いし、めっちゃ書き方上手だし、最高！投稿頑張ってください！ (2022年5月28日 22時) (
レス) @page24 id: 4774474826 (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - ライカさん» ありがとうございます！相変わらず亀更新では御座いますがなるべく更新早めにできるよう努めてまいります！ (2017年9月28日 23時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
ライカ - すんごくおもしろかったです！更新楽しみにしてます (2017年9月28日 17時) (レス) id: 7c63adecef (このIDを非表示/違反報告)
ティアー(プロフ) - ミルミさん» ありがとうございます！ (2017年9月23日 20時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
ミルミ - ティアーさん» わかりました。 私の作品の題名は、[暗殺教室] 吸血鬼の少女と暗殺生活!?と言います。←私の作品は、この物語だけです。 是非、読みに来てくださいね! ^^* (2017年9月17日 14時) (レス) id: 76272ba197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティアー | 作成日時：2017年8月23日 0時
